猫に小判
「まさに猫に小判である」などのように使う「猫に小判」という言葉。
「猫に小判」は、「ねこにこばん」と読みます。
「猫に小判」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「猫に小判」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
猫に小判の意味
「猫に小判」には次の意味があります。
・貴重なものを与えても、本人にはその値うちがわからないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
猫に小判を与えても、その価値がわからない猫にとっては意味がないことから、貴重なものを与えても、その値打がわからない者にとっては意味がないことを言います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・「せっかくの風景も猫に小判でしたがね」とリングローズは白状した。
(出典:フィルポッツ/井内雄四郎訳『闇からの声』)
・自分のような古典の知識のないものにとっては大部分はいわゆるねこに小判である。
(出典:寺田寅彦『ルクレチウスと科学』)
・猫に小判と申しますが、全くその通りで御座います。
(出典:岸田国士『動員挿話[第一稿]』)
・佐野さんは長いパリ生活を送っているので、ブドウ酒の味はしぜんに分かってしまう。一方、私は甘口か辛口かが分かる程度で、本当のところは「猫に小判」なのである。
(出典:吉行淳之介『贋食物誌』)
・制度が先にあっても宜しいが、個人が多数に目覚めて、その制度を我物として活かすのでなくては、制度も猫に小判ですから、私は先ず個人の自覚と努力とを特にそれの乏しい婦人の側に促しているのです。
(出典:与謝野晶子『平塚・山川・山田三女史に答う』)
類語
・豚に真珠(ぶたにしんじゅ)
意味:貴重なものも、価値のわからない者には無意味であることのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
意味:馬にありがたい念仏を聞かせても無駄である。いくら意見をしても全く効き目のないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・馬耳東風(ばじとうふう)
意味:かぐわしい春風が馬の耳を吹きぬけても、馬になんの感動もないこと。他人の忠言や批評などを聞いてもまったく心に留めず、少しも反省しないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・犬に論語(いぬにろんご)
意味:いくら道理を説いて聞かせても益がないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・兎に祭文(うさぎにさいもん)
意味:兎の耳に神仏のご利益を説く祭文を聞かせるように、なんの反応もなくむだであることをいうことわざ。(出典:精選版 日本国語大辞典)