澄む
「水が澄む」などのように使う「澄む」という言葉。
「澄む」は、訓読みで「すむ」と読みます。
「澄む」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「澄む」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
澄むの意味
「澄む」には主に次の三つの意味があります。
1水や空気などに濁りがなくなり、透きとおった状態になる。
2光や色などに曇りがなく、はっきり見える。
3心配や邪念がなく、心がすっきりしている。 (出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
澄むの意味①「水や空気などに濁りがなくなり、透きとおった状態になる。」
「澄む」の一つ目の意味は「水や空気などに濁りがなくなり、透きとおった状態になる。」です。
屋外の空気や水が、淀んだり濁ったりしたものが取り払われることを言います。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・今夜にも、冬がやってきそうに、空の色は澄んで海の色はさえていました。
(出典:小川未明『白い影』)
・このように大気が澄まないのは、都に竜が住みついていないせいだった。
(出典:荒俣宏『帝都物語4』)
・その池の水は澄んでいる筈である、そんなふうに濁るわけがないのである。
(出典:山本周五郎『山彦乙女』)
澄むの意味②「光や色などに曇りがなく、はっきり見える。」
「澄む」の二つ目の意味は「光や色などに曇りがなく、はっきり見える。」です。
自然の景色など、視界にすっきりと見える、隠されたり遮られたりすることのなく、光や音が届きやすくなる、音や光に意識が集中することを言います。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・運転手もとくに熱心にその音楽に耳を澄ませているようには見えなかった。
(出典:村上春樹『1Q84 BOOK1』)
・忽然、今まで澄んでいた橙色の春の月が、血色に変ったではありませんか。
(出典:国枝史郎『天草四郎の妖術』)
・愕いて振り向いた寒子の眼の上に、あの澄んだ美しい髭の男があつた。
(出典:林芙美子『瑪瑙盤』)
澄むの意味③「心配や邪念がなく、心がすっきりしている。」
「澄む」の三つ目の意味は「心配や邪念がなく、心がすっきりしている。」です。
精神的に重圧や苦しさを感じず、気持ちが開放的な状態を言います。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・そして、自分の心も、この山の中と同じように、澄んでいて、動かなかった。
(出典:直木三十五『南国太平記』)
・そんなときでも、よい育ちをした恩樹の眼は静かに澄んでいたのである。
(出典:室生犀星『童子』)
・どこまでも澄んでゐて、しかも底の知れないものが、眞に深いのである。
(出典:三木清『哲学はどう学んでゆくか』)