暖簾に腕押し
「いくら叱っても暖簾に腕押しだ」などのように使う「暖簾に腕押し」という言葉。
「暖簾に腕押し」は、「のれんにうでおし」と読みます。
「暖簾に腕押し」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「暖簾に腕押し」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
暖簾に腕押しの意味
「暖簾に腕押し」には次の意味があります。
・少しも手ごたえや張り合いがないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
「暖簾に腕押し」をわかりやすく言うと、「暖簾を腕で押したときのように、力を入れても少しも手ごたえがない、張り合いがない」という意味になります。
かつて和風の住宅で部屋の仕切りなどによく使用された「暖簾」が、くぐる時に腕で押しても抵抗を感じないことにたとえたことわざです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・暖簾に腕押しというのか、何を言っても無駄だという無力感がある。
(出典:篠田節子『レクイエム』)
・なにせ彼女ときたらしゃべらない、反応はない、まさに暖簾に腕押しといった風情なのである。
(出典:ヤマグチノボル『ゼロの使い魔9〈双月の舞踏会〉』)
・いくら姑が注意をしても、暖簾に腕押しである。
(出典:群ようこ『贅沢貧乏のマリア』)
・女中に用事もの一つ言いつけるにも、まずかんにんどっせと謝るように言ってからという登勢の腰の低さには、どんなあらくれも暖簾に腕押しであった。
(出典:織田作之助『蛍』)
・訊ねても訊ねても、まったく暖簾に腕押し、最小限の返事以外いっこうに具体的なコメントが返ってこないのだ。
(出典:家田荘子『極道の妻たち』)
類語
・糠に釘(ぬかにくぎ)
意味:手ごたえがなく、ききめがないことのたとえにいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・豆腐に鎹(とうふにかすがい)
意味:少しも手ごたえがなく、ききめがないたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・沼に杭(ぬまにくい)
意味:手ごたえがなく、ききめがないことのたとえにいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
意味:馬にありがたい念仏を聞かせても無駄である。いくら意見をしても全く効き目のないことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
・蛙の面へ水(かえるのつらへみず)
意味:どんな仕打ちにも少しも感じないこと。(出典:デジタル大辞泉)