暁闇
「暁闇の中から姿を表す」などのように使う「暁闇」という言葉。
「暁闇」は、「あかつきやみ・ぎょうあん」と読みます。
「暁闇」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「暁闇」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
暁闇の意味
「暁闇」には次の意味があります。
・明け方、月がなく、あたりが暗いこと。また、そのころ。(出典:精選版 日本国語大辞典)
夜明け前のまだ暗い時刻や、周りが暗いことそのものを表す言葉です。
陰暦で、1日から14日ごろまで、月が上弦のころの現象を指すこともあります。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・浅右衛門は表通りに出、遠く暁闇の中に三つの影が浮かんでいるのを見た。
(出典:山田風太郎『警視庁草紙(下)』)
・夫婦同様になって何年経ったのかと、東吾は暁闇の夜具の中で指を折った。
(出典:平岩弓枝『御宿かわせみ 12 夜鴉(よがらす)おきん』)
・眼の下には夢で見たとおりのルフィノ寺院が暁闇の中に厳かな姿を見せていた。
(出典:有島武郎『クララの出家』)
・二十五日を迎えた岐阜城の内外は、暁闇から異常な昂奮に包まれていた。
(出典:池宮彰一郎『本能寺(上)』)
・一刀斎は、暁闇のうちに、そこへ来て、巨樹の根かたへ腰を下していた。
(出典:柴田錬三郎『決闘者 宮本武蔵(上)』)
・諸君もよくご承知のあのぞくっとする不安な暁闇の感じを、僕はおぼえた。
(出典:ウェルズ/新庄哲夫訳『タイム・マシン』)
・そのすぐ後方には、水雷戦隊が暁闇の波浪をのりきって驀進しつつある。
(出典:海野十三『浮かぶ飛行島』)
・暁闇の荒れ地を小走りに進むうちに、奇妙に意識が変容していくような気がした。
(出典:貴志祐介『新世界より』)