昼行灯
「昼行灯みたいな人」などのように使う「昼行灯」という言葉。
「昼行灯」は、「ひるあんどん」と読みます。
「昼行灯」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「昼行灯」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
昼行灯の意味
「昼行灯」には次の意味があります。
・昼間にともす行灯。また、昼間ともしてある行灯が何の用もなさないところから、ぼんやりしている人、役に立たない人にたとえ、その人をあざけっていう語。(出典:精選版 日本国語大辞典)
「行灯」は江戸時代の照明器具の一つで、円筒状の骨組みに和紙を貼り、その中に皿を置き油を入れ芯に火を灯すものです。
あまり明るくないので、「昼」に灯しても目立たない様子から「昼行灯」という言葉になったとされています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・普段はぽややんとした感じの、昼行灯みたいな人らしい。(出典:竜騎士07『ひぐらしのなく頃に 5 目明し編』)
・その危険に署長が気づかないはずはない。昼行灯のようなふりをして、じつは意外と策士なのだ、あの人は。(出典:中村弦『天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語』)
・ヤツは不運だっただけだ。異次元の価値観を持つ昼行灯相手に正攻法で対峙したことが、兵藤の失敗だった。(出典:海堂尊『チーム・バチスタの栄光(上)』)
・それはもはや昼行灯の茫洋ぼうようたる目ではなく、凶器のように突き刺さる鋭角的な視線であった。(出典:森村誠一『花刑』)
・強烈な個性を持つ松下経営陣の中にあって「昼行灯」と自称するほど、どんなことがあっても怒りを顔に出さない穏やかな性格をしていた。(出典:佐藤正明『陽はまた昇る 映像メディアの世紀』)
類語
・凡愚(ぼんぐ)
意味:平凡でおろかなこと。とりたてて利口とはいえないこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・与太郎(よたろう)
意味:役に立たない愚か者。(出典:デジタル大辞泉)
・独活の大木(うどのたいぼく)
意味:身体ばかり大きくて、役に立たない人のたとえ。(出典:ことわざを知る辞典)
・木偶の坊(でくのぼう)
意味:役に立たない人。気のきかない人。人のいいなりになっている人。(出典:デジタル大辞泉)
・月夜に提灯(つきよにちょうちん)
意味:(明るい月夜に提灯をともす意から) 無益・不必要なことのたとえ。(出典:精選版 日本国語大辞典)