捏ねる
「駄々を捏ねる」などのように使う「捏ねる」という言葉。
「捏ねる」は、訓読みで「こねる」または「つくねる」と読みます。
「捏ねる」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「捏ねる」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
捏ねるの意味
「捏ねる」には次の二つの意味があります。
1 粉状の物に水などを加えて練る。また、ねばりけのある固まりなどを練って、ある形にする。また、そのような動作をする。
2 筋の通らない理屈などを繰り返ししつこく言う。また、無理なことをあれこれ言って困らせる。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
捏ねるの意味①「粉状の物に水などを加えて練る。また、ねばりけのある固まりなどを練って、ある形にする。また、そのような動作をする。」
「捏ねる」の一つ目の意味は「粉状の物に水などを加えて練る。また、ねばりけのある固まりなどを練って、ある形にする。また、そのような動作をする。」です。
粉や土などに水を加えるなどしてねりまぜて均質にし、丸めたり、目的の形に作り上げるたりすることをいいます。
この意味の場合は、「つくねる」とも読むことができます。
練ってまとめるのと似て、無秩序に積み重ねることや押し重ねることを意味する場合もあります。
さらに、「捏ねる」動作から、どうにかこうにか作り上げる、なんとか形作るという意味で比喩的に用いる場合もあります。
この場合の”作るもの”は、物理的な物とは限りません。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・パン菓子職人やパン屋は粉の良さを捏ねてるあいだの振舞いで判断する。
(出典:水上茂樹『食品の混ぜ物処理および調理の毒物(1820)』)
・両手をそこに突っ込み、ギーシュは捏ね上げるようにして像を作り始めた。
(出典:ヤマグチノボル『ゼロの使い魔 第8巻 <望郷の小夜曲>』)
・土堤の上の樹の蔭で、悪童連が笑いながら雪を捏ねているのが見えた。
(出典:福永武彦『風土』)
・捏ねていた土が、壺の形になったので、やっと気が楽になったと云う調子である。
(出典:芥川竜之介『運』)
・それとも恐らく、好奇心のあまり秘密を捏ね上げてしまったのか。
(出典:ジッド/石川淳訳『背徳者』)
捏ねるの意味②「筋の通らない理屈などを繰り返ししつこく言う。また、無理なことをあれこれ言って困らせる。」
「捏ねる」の二つ目の意味は「筋の通らない理屈などを繰り返ししつこく言う。また、無理なことをあれこれ言って困らせる。」です。
簡単に言うと、わがままや無理なことを言って人を困らせたり、難題を言いかけたりすることです。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・踊りに行きたいと駄々を捏ね、踊り疲れると気持ちが悪いといいだした。
(出典:馳星周『生誕祭(上)』)
・これは顏を洗ひに一しよに往きたいと云ふので、少しだたを捏ねるのである。
(出典:森鴎外『半日』)
・頭の中でいろいろと理屈を捏ねはするが、引き出しを開こうとはしなかった。
(出典:牧野修『屍の王』)
・また理屈を捏ねている、と誰かに言われそうな気がした。
(出典:森博嗣『G 4 εに誓って (講談社ノベルス)txt形式』)
・修行もしないで小理屈を捏ねたところで小賢しいと云われるだけだ。
(出典:京極夏彦『鉄鼠の檻』)