投影
「気持ちを投影する」などのように使う「投影」という言葉。
「投影」は、音読みで「とうえい」と読みます。
「投影」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「投影」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
投影の意味
「投影」には次の二つの意味があります。
1 物の影を平面に映し出すこと。また、その影。
2ある物の存在や影響が、他の物の上に現れ出ること。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
投影の意味①「 物の影を平面に映し出すこと。また、その影。」
「投影」の一つ目の意味は「 物の影を平面に映し出すこと。また、その影。」です。
壁やスクリーンなどに、プロジェクター(映写機)を用いて画像を適当な大きさで映し出す作業のことであり、映し出された映像や画像などのことです。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・ななめに壁に投影した影だったから、かなり変型していたかもしれない。だが、彼はそれまでそんな影を投影する人間や動物を見たことがない。
(出典:R・E・ハワード『風雲児コナン』)
・その他の様々なデータが、狙撃モードのスクリーンの右下に投影される。
(出典:賀東招二『フルメタル・パニック!7 つづくオン・マイ・オウン』)
・網膜に投影される映像は、閑散とした低層のビル群と一般の住宅だけだ。
(出典:榊涼介『ガンパレード・マーチ 4-5121小隊-熊本城決戦』)
・内海の色、波のないその海面にさかさに投影しているおだやかな山の緑。
(出典:宮本百合子『播州平野』)
・身長が半分になっていたのは二分の一の縮写投影によるものであった。
(出典:沼正三『家畜人ヤプー』)
投影の意味②「ある物の存在や影響が、他の物の上に現れ出ること。」
「投影」の二つ目の意味は「ある物の存在や影響が、他の物の上に現れ出ること。」です。
心理的作用で用いられることもしばしばあります。相手の情動があたかも自身の事であるかのように感じてしまうこと、間接的に関連を強く感じられることなどの意味合いがあります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・この時の君の気持ちは、そのまま君の描く油絵に投影されているものね。
(出典:竹本健治『匣の中の失楽』)
・人の考え方を投影して、獣の心をわかったつもりになってはいけなかったのだ。
(出典:上橋菜穂子『獣の奏者 II 王獣編』)
・口で言う通りに考えて、その意思だけをバーンに投影するようにした。
(出典:富野由悠季『オーラバトラー戦記 1 アの国の恋』)
・これらの重圧が精神をゆがめ、理想の光景を投影したのではないだろうか。
(出典:星新一『ちぐはぐな部品』)
・よしそこに、当時の太宰治の心情が幾分かは投影されているにしても。
(出典:野原一夫『太宰治 生涯と文学』)