戦犯
「敗戦後、戦犯として裁きを受けた」などのように使う「戦犯」という言葉。
「戦犯」は、音読みで「せんぱん」と読みます。
「戦犯」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「戦犯」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
戦犯の意味
「戦犯」には次の二つの意味があります。
1 「戦争犯罪人」の略。戦争を起こしたり、人道に外れた戦争行為をしたりして罪に問われた者。
2 俗に、試合などでチームが負ける原因となった人。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
戦犯の意味①「「戦争犯罪人」の略。戦争を起こしたり、人道に外れた戦争行為をしたりして罪に問われた者。」
「戦犯」の一つ目の意味は「「戦争犯罪人」の略。戦争を起こしたり、人道に外れた戦争行為をしたりして罪に問われた者。」です。
言い換えると、国際法で定められた戦争法規に違反する行為を行った人のことで、具体的には、捕虜の虐待、病院・船への攻撃、禁止兵器の使用などをした人です。
第二次世界大戦後には、そのほかに平和に対する罪、人道に対する罪が加えられました。
日本において多くの場合は、第二次世界大戦終結後に行われた東京裁判で有罪となった日本の指導者28人を指します。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・マニラの市民虐殺の全責任を自分が背負って、戦犯で裁判を待っている。
(出典:豊田穣『海兵四号生徒』)
・万一元の身分がバレれば、全員戦犯として処刑されると脅かされましたからね。
(出典:森村誠一『新・人間の証明(上)』v)
・そんな時、海軍大尉だった兄が戦犯になったという連絡が入った。
(出典:水木しげる『ねぼけ人生』)
・戦後、広田は戦犯として巣鴨拘置所に収容されているとき、賀屋に語った。
(出典:勝田龍夫『重臣たちの昭和史 上』)
類語
・戦争犯罪人(せんそうはんざいにん)
意味:戦争犯罪の罪に問われた人。戦犯。戦犯者。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・A級戦犯(エーきゅうせんぱん)
意味:第二次大戦後、連合国が「平和に対する罪」を問うために訴追した日本の重要戦争犯罪人のこと。(出典:デジタル大辞泉)
・BC級戦犯(ビーシーきゅ‐せんぱん)
意味:第二次大戦後、連合国が訴追したB級戦犯とC級戦犯の総称。B級戦犯は、戦争法規または慣例に違反したとする「通例の戦争犯罪」に該当する者、C級戦犯は「人道に対する罪」に該当する者とされた。(出典:デジタル大辞泉)
・平和に対する罪(へいわにたいするつみ)
意味:戦争犯罪の一。侵略戦争や国際条約等に違反する戦争を計画・開始・遂行し、また、その目的で共同の計画や謀議に参画した行為を指す。(出典:デジタル大辞泉)
・人道に対する罪(じんどうにたいするつみ)
意味:戦争犯罪の一。一般民衆に対する大量殺人・虐待・追放などの非人道的行為や、政治的・人種的・宗教的理由による迫害行為を指す(出典:デジタル大辞泉)
戦犯の意味②「俗に、試合などでチームが負ける原因となった人。」
「戦犯」の二つ目の意味は「俗に、試合などでチームが負ける原因となった人。」です。
①の意味で一部の指導者が戦争の責任をとらされたことから転じて、スポーツなどの団体競技の試合で、敗因に直結する大きな失敗をした指導者や参加メンバーのことを表現する俗語として用いられます。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・勝てば英雄のように扱われるのが代表なら、負ければ戦犯として扱われるのも代表なのだから。
(出典:井上堅二『バカとテストと召喚獣 1』)
・試合が終わったあと、戦犯だと責められるのが怖くてロッカールームに逃げ込んだ。
・チームが負けたことを彼が戦犯だといって問い詰めるのは間違っている。
・ミスはしたけれども、チームは彼を戦犯だとは思っていない。
類語
・敗因(はいいん)
意味:まけた原因。また、しくじりのもと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・犯人(はんにん)
意味:罪を犯した人。犯罪人。(出典:デジタル大辞泉)
・厄介者(やっかいもの)
意味:他人に迷惑をかける人。(出典:デジタル大辞泉)
・責任者(せきにんしゃ)
意味:ある事柄について、その責任を負うべき人。(出典:精選版 日本国語大辞典)