懐刀
「懐刀を忍ばせる」などのように使う「懐刀」という言葉。
「懐刀」は、訓読みで「ふところがたな」と読みます。
「懐刀」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「懐刀」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
懐刀の意味
「懐刀」には次の二つの意味があります。
1 懐中に所持する護身用の小さい刀。
2 腹心の部下。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
懐刀の意味①「懐中に所持する護身用の小さい刀。」
「懐刀」の一つ目の意味は「懐中に所持する護身用の小さい刀。」です。
武家に生まれた女性が自分の身を護り、いざという時は自害できるようにするために持ち歩いていた短い日本刀のことです。
現代では和装の花嫁衣裳に合わせる小物の一つになっています。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・恵子はそうつぶやき、仏壇の前に置かれた古い懐刀を取りあげた。
(出典:荒俣宏『帝都物語5』)
・そのお方が懐刀で自害された。
(出典:国枝史郎『血ぬられた懐刀』)
・われとわが懐刀を胸に突き立ててその命を絶ってしまったのである。
(出典:南條範夫『駿河城御前試合』)
・すなわち玄女が懐刀を抜き、同じく頭上へ振り冠ったのである。
(出典:国枝史郎『南蛮秘話森右近丸』)
・武家の奥方の持つ懐刀には鍔はついていないし、匕首もそうだ。
(出典:宮部みゆき『かまいたち』)
懐刀の意味②「腹心の部下。」
「懐刀」の二つ目の意味は「腹心の部下。」です。
腹心には深く信頼した相手という意味があり、秘密を打ち明けることのできる優秀な部下のことを懐刀といいます。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・国王の懐刀とまで呼ばれたブルクスが思わず気圧されるほどの気魄だった。
(出典:茅田砂胡『デルフィニア戦記 第4巻』)
・深林寺代議士は、旧財閥系の名星グループの懐刀とも言われています。
(出典:姉小路祐『殺意の法廷』)
・石倉君は杉本の懐刀でもあったし、コンビを組んで合併工作を推し進めた。
(出典:山田智彦『銀行 男たちの報酬』)
・店でもママの懐刀みたいな立場にある。
(出典:中野順一『セカンド・サイト』)
・同社長の懐刀的存在となって、グループ全体にこわもてしていたそうである。
(出典:森村誠一『殺人の赴任』)