意匠
「意匠を凝らす」などのように使う「意匠」という言葉。
「意匠」は、音読みで「いしょう」と読みます。
「意匠」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「意匠」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
意匠の意味
「意匠」には次の二つの意味があります。
1 絵画・詩文や催し物などで、工夫をめぐらすこと。趣向。
2 美術・工芸・工業製品などで、その形・色・模様・配置などについて加える装飾上の工夫。デザイン。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
意匠の意味①「絵画・詩文や催し物などで、工夫をめぐらすこと。趣向。」
「意匠」の一つ目の意味は「絵画・詩文や催し物などで、工夫をめぐらすこと。趣向。」です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ そしてここに見る生活の意匠には、素朴そぼくな美しさすらあるではないか。
(出典:モーム/中野好夫訳『月と六ペンス』)
・考えてみると、女があれほど意匠をこらす場所が他にあるだろうか。
(出典:林真理子『ルンルンを買っておうちに帰ろう』)
・わたしたちは昔の人の意匠を前にして、心靜かに時を送ることもかなはなかつた。
(出典:島崎藤村『桃の雫』)
・かくの如き者ならば料理屋に依頼せずして亭主自ら意匠を凝らすを可とす。
(出典:正岡子規『病牀六尺』)
類語
・趣向(しゅこう)
意味:味わいやおもしろみが出るように工夫すること。また、その工夫。
(出典:デジタル大辞泉)
・工夫(くふう)
意味:よい方法や手段をみつけようとして、考えをめぐらすこと。また、その方法や手段。
(出典:デジタル大辞泉)
・捻り(ひねり)
意味:趣向をこらすこと。一工夫すること。(出典:デジタル大辞泉)
・アイデア
意味:思いつき。新奇な工夫。着想。(出典:デジタル大辞泉)
意匠の意味②「美術・工芸・工業製品などで、その形・色・模様・配置などについて加える装飾上の工夫。デザイン。」
「意匠」の2つ目の意味は「美術・工芸・工業製品などで、その形・色・模様・配置などについて加える装飾上の工夫。デザイン。」です。
芸術面で使われることが多く、作品にプラスアルファをすることによって、より価値の高いものにしようとする目的があります。
わかりやすく言えば「デザイン」という意味です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・これも意匠はまったく帝国旗と同じだが、地はネイ=ラムサールの赤だ。
(出典:森岡浩之『星界シリーズ 星界の戦旗 01 絆のかたち』)
・引幕の意匠彩色もまた大道具と並びて演劇以外の演劇に大なる関係あり。
(出典:永井荷風『江戸芸術論』)
・サン・マルコ寺院や、街のあちこちにこの意匠が描かれ、刻まれている。
(出典:夢枕獏『シナン2』)
・今日の日本人でたれか、昔の看板やのれんの意匠に匹敵するものを描けるか。
(出典:岸田劉生『新古細句銀座通』)
類語
・デザイン
意味:作ろうとするものの形態について、機能や生産工程などを考えて構想すること。意匠。設計。図案。(出典:大辞林 第三版)
・装飾(そうしょく)
意味:飾ること。美しく装うこと。また、その装い・飾り。(出典:デジタル大辞泉)
・色付け(いろづけ)
意味:新しいおもしろみや意味などを付け加えること。(出典:デジタル大辞泉)