忘れ形見
「この本は父の忘れ形見だ」などのように使う「忘れ形見」という言葉。
「忘れ形見」は、「わすれがたみ」と読みます。
「忘れ形見」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「忘れ形見」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
忘れ形見の意味
「忘れ形見」には次の二つの意味があります。
1 その人を忘れないように残しておく記念の品。
2 父が死んだとき、母の胎内にいた子。また、親の死んだあとに残された子。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
忘れ形見の意味①「その人を忘れないように残しておく記念の品。」
「忘れ形見」の一つ目の意味は「その人を忘れないように残しておく記念の品。」です。
この意味では「物」に対して使われることが多く、「父が忘れ形見として残した扇子」のように使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・それにしても、この忘れ形見があることが、今はせめてもの慰めだった。
(出典:田辺聖子『新源氏物語』)
・なつかしい東京の忘れ形見として、いつまでも私は大切にとっておきたいと思っている。
(出典:正岡容『随筆 寄席囃子』)
・このボロ家の前の住人の忘れ形見が何かの拍子に出てきたのか。
(出典:秋山瑞人『龍盤七朝DRAGONBUSTER 第三回(電撃hp Vol.47)』)
・彼女の母親、臥煙遠江が娘に残したその忘れ形見は、ともかく『左手』だった。
(出典:虚淵玄『沙耶の唄』)
類語
・スーブニール
意味:記念の品。また、思い出。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・記念品(きねんひん)
意味:ある出来事を記念する品物。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・形見(かたみ)
意味:過去を思い出させるもの。記念の品。(出典:デジタル大辞泉)
・遺品(いひん)
意味:形見の品。(出典:デジタル大辞泉)
忘れ形見の意味②「父が死んだとき、母の胎内にいた子。また、親の死んだあとに残された子。」
「忘れ形見」の二つ目の意味は「父が死んだとき、母の胎内にいた子。また、親の死んだあとに残された子。」です。
この意味は「親が亡くなったあとに残された子ども」に対して使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・夫の忘れ形見がすぐ近くにいるのを、千姫は全く知らされていなかった。
(出典:平岩弓枝『千姫様』)
・夫人は忘れ形見の小さな男の子を連れて日本に帰ってきた。
(出典:山下洋輔『ドバラダ門』)
・だがその忘れ形見の辰男は、イヨの望んだようには育っていなかった。
(出典:岩井志麻子『夜啼きの森』)
・婚約者の忘れ形見として、ひとりで子供を育てる決心をしたのだった。
(出典:貫井徳郎『天使の屍』)
類語
・孤児(こじ)
意味:両親を失った子ども。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・みなしご
意味:死に別れたり捨てられたりして親のない子。(出典:デジタル大辞泉)
・遺子(いし)
意味:親の死後、残された子。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・遺児(いじ)
意味:親と死に別れた子。(出典:デジタル大辞泉)