後釜
「後釜にすわる」などのように使う「後釜」という言葉。
「後釜」は、訓読みで「あとがま」と読みます。
「後釜」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「後釜」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
後釜の意味
「後釜」には次の二つの意味があります。
1 前の人に代わって、その地位に就く人。後任者。
2 のち添いの妻。後妻。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
後釜の意味①「 前の人に代わって、その地位に就く人。後任者。 」
「後釜」の一つ目の意味は「 前の人に代わって、その地位に就く人。後任者。 」です。
「後釜」はもともと江戸時代の俗語であり、「かまどの残り火が消えないうちに、次の釜をかけること」を意味した言葉ですが、転じて「後任者」という意味で使われます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・二代目は首になり、その後釜にすわった男も、うまくはいかなかった。
(出典:アン・マキャフリイ『パーンの竜騎士シリーズ(全16巻) 1 竜の戦士』)
・私の後釜にすわるのが誰かぐらいは君も知っているんだろうね?
(出典:スタンダール/大久保和郎訳『パルムの僧院(下)』)
・死にゆく実業家の後釜を探していたのだ。
(出典:伸たまき『パーム -あるはずのない海』)
・しかしそれに吉亮の後釜問題がからんでいるとなると、話は別になってくる。
(出典:綱淵謙錠『斬(ざん)』)
類語
・継ぐ(つぐ)
意味:前の者のあとを受けて、その仕事・精神・地位などを引き続いて行う。続けてする。相続する。継承する。(出典:デジタル大辞泉)
・継承(けいしょう)
意味:ひきつづいて、うけつぐこと。先代や先任者などの地位や身分、財産、権利、義務などを、うけつぐこと。承継。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・後継(こうけい)
意味:あるもののあとを継ぐこと。また、その者。あとつぎ。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・後任(こうにん)
意味:前任者に代わりその任務につくこと。また、その人。(出典:精選版 日本国語大辞典)
後釜の意味②「 のち添いの妻。後妻。 」
「後釜」の二つ目の意味は「 のち添いの妻。後妻。 」です。
「後妻(ごさい)」は「妻と死別または離婚した男が、そのあとで結婚した妻」を意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・あいつは次々と女房を替えとったが、前の女房が居る間にちゃんと後釜を作っとったんです。
(出典:松本清張『黒の様式』)
・なぜ、あたしがあなたの後釜にならなければいけないの?
(出典:荒俣宏『帝都物語5』)
・一昨年社長の先妻が死んだ後釜にはいった。
(出典:織田作之助『青春の逆説』)
・自分も同様に仇のますみを抹殺し、その後釜にすわりたい野望が彼女の中に育って来たんだ。
(出典:平岩弓枝『黒い扇』)
類語
・後妻(ごさい)
意味:後にめとった妻。古くは、初めて迎えた妻、本妻に対して次の妻をいい、後には死別または離縁した妻のあとに迎えた妻をいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・後添い(のちぞい)
意味:妻と死別または離別した男が、そのあとで連れ添った妻。二度目の妻。後妻。うわなり。のちぞえ。のちづれ。のちよび。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・後連れ(あとづれ)
意味:後添い。(出典:デジタル大辞泉)