布石
「布石をうつ」などのように使う「布石」という言葉。
「布石」は、音読みで「布石」と読みます。
「布石」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「布石」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
布石の意味
「布石」には次の二つの意味があります。
1 囲碁で、序盤戦での要所要所への石の配置。
2 将来のために配置しておく備え。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
布石の意味①「囲碁で、序盤戦での要所要所への石の配置。」
「布石」の一つ目の意味は「囲碁で、序盤戦での要所要所への石の配置。」です。
囲碁対局の序盤での碁石の置き方を意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・五段になるには、実戦の体験も必要だが、布石をはじめ各種の定石を覚えなければならない。
(出典:星新一『きまぐれフレンドシップ PART2』)
・白と黒の石が盤上に気ままに布石されているらしいことは、チャオ・タイが気づいていた。
(出典:フーリック/大室幹雄訳『中国湖水殺人事件』)
・激して来る鉄平に対し、倉石は、冷静に碁盤の目に一つ一つ布石していくように質問した。
(出典:山崎豊子『華麗なる一族 下』)
・新聞の碁などで高段者の譜を眺めていると、布石や中盤で、予想もしなかった石が置かれ、それでいて盤面がひきしまる一石がある。
(出典:星新一『きまぐれ星のメモ』)
類語
・序盤(じょばん)
意味:囲碁・将棋で、対局の初期の段階。布石・駒組みの段階。(出典:大辞林 第三版)
・初手(しょて)
意味:囲碁・将棋で、最初の手。(出典:大辞林 第三版)
・定石(じょうせき)
意味:囲碁で、昔から研究されてきて最善とされる、きまった石の打ち方。(出典:デジタル大辞泉)
布石の意味②「将来のために配置しておく備え。」
「布石」の二つ目の意味は「将来のために配置しておく備え。」です。
囲碁の布石の意味から比喩的に、囲碁以外のものごとについても、後々に影響するような備えのことを「布石」と言います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・アメリカは外交的に巧みな布石を打ったのである。
(出典:保阪正康『東條英機と天皇の時代(上) 軍内抗争から開戦前夜まで』)
・ぼくは、自分の人生を綿密に計算して、抜け目なく、布石をしてゆくタイプじゃない。
(出典:小林信彦『夢の砦』)
・それはたしかに会社を預かる社長として、会社の将来の一層の発展のための布石を考えないはずはない。
(出典:諸井薫『男とは何か』)
・ここは印象をよくしておいて将来の陳情の布石としたかったのである。
(出典:松本清張『空の城』)
類語
・備え(そなえ)
意味:ある事態が起こった場合などに対する準備・用意。(出典:デジタル大辞泉)
・手回し(てまわし)
意味:事前に手くばりすること。手配。用意。(出典:デジタル大辞泉)
・段取り(だんどり)
意味:事を運ぶための順序。事がうまく運ぶように、前もって手順をととのえること。手はず。(出典:大辞林 第三版)
・膳立て(ぜんだて)
意味:(多く上に「お」を伴って)うまく事が運ぶように準備すること。下準備。(出典:大辞林 第三版)