尖兵
「尖兵を送る」などのように使う「尖兵」という言葉。
「尖兵」は、音読みで「せんぺい」と読みます。
「尖兵」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「尖兵」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
尖兵の意味
「尖兵」には次の二つの意味があります。
1 軍隊の行動中、本隊の前方にあって警戒・偵察の任に当たる小部隊。
2 他に先がけて、その分野・場所などに進出する人。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
尖兵の意味①「軍隊の行動中、本隊の前方にあって警戒・偵察の任に当たる小部隊。」
「尖兵」の一つ目の意味は「軍隊の行動中、本隊の前方にあって警戒・偵察の任に当たる小部隊。」です。
「尖兵」を分かりやすくいうと、部隊が敵に近づいて行動しているときに、本体の前衛で警戒や偵察を行いながら進む小部隊のことです。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・カリまでの道程を半分ほど進んだとき、小高い丘の上で尖兵が停止した。
(出典:E・R・バローズ『創元版/ペルシダー・シリーズ(全7巻) 7 美女の世界ペルシダー』)
・貴様は戦闘の経験がないから、平和進駐の尖兵中隊を譲ってやったんだ。
(出典:高木俊朗『全 滅』)
・尖兵は銃兵たちの中でもっとも戦闘的な連中が配されることになっていた。
(出典:佐藤大輔『皇国の守護者1 反逆の戦場』)
・午後十時半ごろ、尖兵がイル川東岸に近づいて、はじめて敵と接触した。
(出典:五味川純平『ガダルカナル』)
・ただ陸戦の常識に従って尖兵の役割の適切な反応を期待されているだけである。
(出典:島尾敏雄『魚雷艇学生』)
尖兵の意味②「他に先がけて、その分野・場所などに進出する人。」
「尖兵」の二つ目の意味は「他に先がけて、その分野・場所などに進出する人。」です。
この意味は、軍隊の前衛を進むという意味から転じてできた言葉です。新しい分野や敵対する分野に対して、先頭を切って進出する人のことを指します。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・自分はその尖兵に使われているのかもしれないと思った。
(出典:池上永一『テンペスト1 若夏の巻』)
・これらは内務省に彼の勢力を植えつけてゆく尖兵となっていた。
(出典:松本清張『象徴の設計 新装版』)
・しかしいま、私の考えは変って、虎尾の会は倒幕の尖兵であるべきだと考えている。
(出典:藤沢周平『回天の門』)
・その尖兵として、大沢のような人間が大量に便利に使われている。
(出典:秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏 その3』)
・それなのに自分は軍国主義の尖兵になろうとしている。
(出典:森村誠一『ミッドウェイ』)