小手先
「小手先の技は通用しない」などのように使う「小手先」という言葉。
「小手先」は「こてさき」と読みます。
「小手先」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「小手先」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
小手先の意味
「小手先」には次の三つの意味があります。
1 手の先の方。手先。
2 ちょっとした機転。小才(こさい)。
3 その場しのぎで、将来を見通した深い考えのないこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
小手先の意味①「手の先の方。手先。」
「小手先」の一つ目の意味は「手の先の方。手先。」です。
文字の通り、手の先という意味です。手の先を使うような細かい作業をするときにも使用されます。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・ぼくは平然としているけれど、慣れない小手先の細工に少なからず緊張してしまった。
(出典:米澤穂信『小市民シリーズ2 夏期限定トロピカルパフェ事件』)
・決して小手先の器用や生かじりの学問で、でっちあげたものじゃげえせん。
(出典:芥川竜之介『戯作三昧』)
・われわれは小手先の器用さに酔って、何かもっと大切なことを忘れていはしないだろうか、と青空に乱舞する美しい雲を仰ぎながら考えたのであった。
(出典:堀淳一『物理の風景―数理物理学者の見た世界』)
小手先の意味②「ちょっとした機転。小才(こさい)。」
「小手先」の二つ目の意味は「ちょっとした機転。小才(こさい)。」です。
器用で、頭の働きが良い人を指します。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・大きい身体だが、「軽業」と呼ばれる小手先器用なプレーもできる。
(出典:)
・常に一歩先どころか、小手先であしらわれてしまう。
(出典:支倉凍砂『狼と香辛料III』)
・小説家なんて人々は、何うして斯んなにも人を面白がらせる術に長けて、不思議な小手先の才能に恵まれた魔術師だらう!
(出典:牧野信一『早春のひところ』)
小手先の意味③「その場しのぎで、将来を見通した深い考えのないこと。」
「小手先」の三つ目の意味は「その場しのぎで、将来を見通した深い考えのないこと。」です。
単調で練られていない行動をした際によく使われます。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・小手先で変わらないなら、私たちのように力で変えていけばいい。
(出典:井上祐美子『五王戦国志8 天壌篇』)
・こんな小手先のものではなく、もっと相手を思う気持ちが伝えられるはずだった。
(出典:林亮介『和風Wizardry純情派 1』)
・小手先の技巧はないが、こうと信じたことには真っ正面から打つかってくる。
(出典:半藤一利『聖断 天皇と鈴木貫太郎』)