奥ゆかしい
「奥ゆかしい人柄」などのように使う「奥床しい」という言葉。
「奥ゆかしい」は、訓読みで「おくゆかしい」と読みます。
「奥ゆかしい」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「奥ゆかしい」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
奥ゆかしいの意味
「奥ゆかしい」には次の意味があります。
・深みと品位があって、心がひかれる。深い心遣いが感じられて慕わしい。(出典:デジタル大辞泉)
あまり自己主張せず、落ち着きがあり、気品がある様子を言います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・奥ゆかしいところは欠けて、派手な現代型の贅沢さが見えるのである。
(出典:与謝野晶子『源氏物語』)
・奥ゆかしいことに、先生はそこで僅かに二冊の書物にしか触れられていない。
(出典:福永武彦『第三随筆集 枕頭の書』)
・映画の撮影が終わると荒木太郎はまた奥ゆかしい性格に戻ってしまった。
(出典:牧場由美『オナニー交遊録』)
・花めうがが匂ふ、白百合ほど強くなくて、まことに奥ゆかしいかをりである。
(出典:種田山頭火『其中日記』)
・奥ゆかしいところのある人だと思わせられる心持になりました。
(出典:中里介山『大菩薩峠』)
・「その時、お顔を見ることはできなかったのだが、なんとも奥ゆかしい姫だとおれは思ったのだよ」 博雅は、晴明に言った。
(出典:夢枕獏『陰陽師生成(なまな)り姫』)
・ずいぶんと奥ゆかしいことを言うのだね。
(出典:荻原規子『西の善き魔女5 闇の左手』)
・奥ゆかしいその物ごしを見せられてますますその女が慕わしくなった。
(出典:田中貢太郎『悪僧』)
類語
・慎ましい(つつましい)
意味:遠慮深い態度である。控えめで、しとやかだ。(出典:デジタル大辞泉)
・清淑(せいしゅく)
意味:清純でしとやかなこと。汚れがなく立派なこと。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・心ゆかしい(こころゆかしい)
意味:なんとなく心が引かれるようである。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・慎ましやか(つつましやか)
意味:しとやかなさま。つつましいさま。(出典:デジタル大辞泉)
・麗しい(うるわしい)
意味:精神的に豊かで気高く、人に感銘を与えるさま。(出典:デジタル大辞泉)
・優優(ゆうゆう)
意味:やさしくしとやかである、みやびている。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・窈窕(ようちょう)
意味:あでやかなさま。また、奥深いさま。(出典:普及版 字通)
・床しい(ゆかしい)
意味: 気品・情趣などがあり、どことなく心がひかれるようである。(出典:デジタル大辞泉)