問屋
「お魚の問屋」などのように使う「問屋」という言葉。
「問屋」は、音読みで「とんや」または「といや」と読みます。
「問屋」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「問屋」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
問屋の意味
「問屋」には次の意味があります。
・自己の名義で他人のために物品の販売,買入れを行う業者(商法551条)で,取次商の一種。損益はすべて売買を委託した他人(生産者,小売商,仲買商等)に帰し,問屋は手数料のみを得る中間商である。(出典:百科事典マイペディア)
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・前年のうちに買いつけるのは、それだけで、問屋仲間を裏切ったことになる。
(出典:柴田錬三郎『岡っ引どぶ 巻三』)
・十組問屋仲間の数が限定され、以後の新規加入をすべて認めないというきまりになってしまったのである。
(出典:半村良『セルーナの女神』)
・問屋仲間で湯治や女郎買いにいく機会おりはよくあるといってたが、時三郎のそんな評判は全然ないんだ。
(出典:南原幹雄『付き馬屋おえん吉原御法度』)
・もっとも、京都にいて早くそのことを知った中津川の浅見景蔵が帰国を急いだころは、同じ東山道方面の庄屋しょうや本陣問屋といや仲間で徳川慶喜よしのぶ征討令が下るまでの事情に通じたものもまだ少なかった。
(出典:島崎藤村『夜明け前』)
・鏡梅鉢などは、当時まだ吉原揚屋町にあった蔦屋の店先が、問屋仲間、小売りの人間でごった返し、摺ったばかりで、まだ本にもしていないものを途中で車を止めて買い取る者もいたというほど売れた。
(出典:藤沢周平『喜多川歌麿女絵草紙』)
・。もっと他の問屋に頼みたい、そのことはもう四、五年も前から、下海道しもかいどう辺の問屋でも今渡いまどの問屋仲間でも、荷主まで一緒になって、みんな申し合わせをしたことよなし。
(出典:島崎藤村『夜明け前』)
・藩では、その年の稲作の出来によって翌年の醸造石数を制限することを決まりとしていたので、問屋仲間の世話人を勤める西島は、代表してそのあたりの感触をたしかめに来たということらしかったが、作柄については、藩はまだ最終的な判定を取りまとめ中だった。
(出典:藤沢周平『風の果て(上)』)
・その実力を背景に、問屋仲間は文化十年、仲買人、紙漉人に対して、問屋組以外に紙を売らないよう、もし組以外の店に紙荷を送った場合は、委細かまわず組内に荷を引き取ると通知した。
(出典:藤沢周平『暁のひかり』)