及ぶ
「被害が及ぶ」などのように使う「及ぶ」という言葉。
「及ぶ」は、訓読みで「およぶ」と読みます。
「及ぶ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「及ぶ」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
及ぶの意味
「及ぶ」には次の四つの意味があります。
1ある範囲に達すること。
2事態が発展してその状態にまでなる。
3質や能力が基準に達する。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
及ぶの意味①「ある範囲に達すること。」
「及ぶ」の一つ目の意味は「ある範囲に達すること。」です。
「被害が各地に及ぶ」で「被害が各地に達する」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・活動は継続中で、収められている電子テキストは一万六〇〇〇にも及ぶ。
(出典:宮川典子『青空文庫ものがたり』)
・現場に篝火を焚き、時にはその作業が深夜近くにまで及ぶこともあった。
(出典:夢枕獏『陰陽師付喪神(つくもがみ)ノ巻』)
・記憶の及ぶ限り昔から、彼はいつもその声を聞いてたのである。
(出典:ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』)
類語
・達する(たっする)
意味:目的地に着くこと。(出典:デジタル大辞泉)
・届く(とどく)
意味:ある所に至りつくこと。(出典:デジタル大辞泉)
・上る(のぼる)
意味:相当の程度に達すること。(出典:大辞林 第三版)
及ぶの意味②「事態が発展してその状態にまでなる。」
「及ぶ」の二つ目の意味は「事態が発展してその状態にまでなる。」です。
「ついに犯行に及ぶ」や「実力行使に及ぶ」などというように使う場合は、この意味となります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・戻ってこられない場合には危険が及ぶことになります。
(出典:森博嗣『G 04 εに誓って(講談社ノベルス)txt形式』)
・その調和が崩れたとしたら、森にも大きな影響が及ぶことになる。
(出典:水野良『魔法戦士リウイ 第02巻』)
・何でもないことで、ついむしゃくしゃして兇行に及ぶというケースだ。
(出典:胡桃沢耕史『跳んでる警視正 平成篇1 警視正天山南路を行く』)
類語
・至る(いたる)
意味:その状態になること。(出典:大辞林 第三版)
・来る(きたる)
意味:近いうちに来ること。(出典:大辞林 第三版)
・到着(とうちゃく)
意味:そこまで届くこと。(出典:デジタル大辞泉)
及ぶの意味③「質や能力が基準に達する。」
「及ぶ」の三つ目の意味は「質や能力が基準に達する。」です。
「彼には及ばない」で「彼には敵わない」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・かつ鉛筆の色はどんなに巧みに書いても到底チョークの色には及ばない。
(出典:国木田独歩『画の悲み』)
・そんなことはとても自分の力には及ばないような気もした。
(出典:森田草平『四十八人目』)
・また一方の喜平次は、武芸にかけては此の道場でおれに及ぶ者はない。
(出典:岡本綺堂『食道楽』)
類語
・肩を並べる(かたをならべる)
意味:相手と対等なポジションになる。(出典:大辞林 第三版)
・匹敵(ひってき)
意味:比べてみて相手と能力が同程度である。(出典:デジタル大辞泉)
・敵う(かなう)
意味:対等の力がある。(出典:デジタル大辞泉)