厚誼
「ご厚誼を賜る」などのように使う「厚誼」という言葉。
「厚誼」は、音読みで「こうぎ」と読みます。
「厚誼」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「厚誼」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
厚誼の意味
「厚誼」には次の意味があります。
・情愛のこもった親しいつきあい。厚いよしみ。(出典:デジタル大辞泉)
しばしば「ご厚誼」という形で使用され、年賀状など格式のある場面で使われる言葉です。
同じ読み方で「交誼」という言葉がありますが、「厚誼」は目上に対して、「交誼」は友人など対等な立場にある人に対して使うという違いがあります。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・その方の心からなる厚誼には、言葉と行為との両方で十二分に酬いたい。
(出典:シェイクスピア/大山俊一訳『テンペスト(あらし)』)
・諸君には見えないだらうが僕は草葉の陰から諸君の厚誼を謝して居るよ。
(出典:正岡子規『墓』)
・私たちは自然が準備してくれたこの厚誼を無にしてはすまない。
(出典:柳宗悦『工芸の道』)
・またこの本の出版に関し書肆から受けた厚誼に対し、厚く謝意を伝えたく思います。
(出典:柳宗悦『手仕事の日本』)
・南嶽では朝日の石崎君の紹介で、思いも寄らず劉止戈や胡子安らと知り合って、彼らと厚誼を結んでいる。
(出典:壇一雄『リツ子 その愛・その死』)
・孝二は正坐し、出席した人々に向かって、生前の周吉への厚誼を謝し、今後いっそうの厚情と支援を願う型通りの挨拶をした。
(出典:上西晴治『十勝平野(下)』)
・こうして皆さんのお集まりを願ったのは、じつは皆さんの協力と助言を仰ぎたいからなのでして、平ぜいの皆さんのご厚誼に甘えて、わたしの期待は叶えて頂けるものと信じております。
(出典:チェーホフ・アントン『ワーニャ伯父さん』)
・私が格別のご厚誼を願っている女性に、造型美術、音楽、舞踊、文学のあらゆる分野にひいでた、万能の芸術家がいる。
(出典:吉田満『戦中派の死生観』)