十八番
「十八番の曲」などのように使う「十八番」という言葉。
「十八番」は、音読みで「じゅうはちばん」または「おはこ」と読みます。
「十八番」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「十八番」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
十八番の意味
「十八番」には次の二つの意味があります。
1 「歌舞伎十八番」の略。
2 その人のいちばん得意とすること。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
十八番の意味①「「歌舞伎十八番」の略。」
「十八番」の一つ目の意味は「「歌舞伎十八番」の略。」です。
七代目市川團十郎が市川宗家のお家芸として選定した、十八種の歌舞伎演目のことをいいます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・成功すれば、新しい歌舞伎十八番物になるかもしれない。
(出典:吉川英治『随筆 新平家』)
・裕子は必死になって歌舞伎十八番の演目を思い出して演技をする
(出典:東郷隆『(定吉七番シリーズ 2) ロッポンギから愛をこめて』)
・歌舞伎十八番、助六が舞台に登場する際に歌われる河東節が老婆の口からもれた
(出典:東郷隆『(定吉七番シリーズ 2) ロッポンギから愛をこめて』)
・亮一は学生時代から歌舞音曲が好きで、歌舞伎十八番の台詞などは暗記していた。
(出典:足立倫行『妖怪と歩く ドキュメント・水木しげる』)
類語
・旧劇(きゅうげき)
意味:新派・新劇に対して、能・狂言・歌舞伎など伝統演劇の称。(出典:大辞林 第三版)
・能楽(のうがく)
意味:能のこと。明治以後に猿楽の字面を嫌って使われた言い方。(出典:デジタル大辞泉)
・狂言(きょうげん)
意味:歌舞伎。また、その出し物。(出典:デジタル大辞泉)
・演劇(えんげき)
意味:観客を前に、俳優が舞台で身ぶりやせりふで物語や人物などを形象化し、演じて見せる芸術。(出典:デジタル大辞泉)
十八番の意味②「その人のいちばん得意とすること。」
「十八番」の二つ目の意味は「その人のいちばん得意とすること。」です。
「おはこ」と言うことも多いです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・その歌はいわずと知れた彼女の十八番の「赤い苺の実」の歌だった。
(出典:海野十三『恐怖の口笛』)
・あれさえなければ、おれの十八番がうけていたはずなのに。
(出典:乙一『ZOO』)
・いつもの十八番が無意識のうちに彼の口をついて出た。
(出典:東郷隆『(定吉七番シリーズ 4) ゴールドういろう』)
・これはあたしの十八番だから、気を入れて聞いて下さい。
(出典:矢野誠一編『古典落語・長屋ばなし』)
類語
・特技(とくぎ)
意味:みずから得意とする特別の技能(出典:大辞林 第三版)
・スキル
意味:手腕。技量。また、訓練によって得られる、特殊な技能や技術。(出典:デジタル大辞泉)
・神業(かみわざ)
意味:神のしわざ。また、そのような超人間的な技術や行為。(出典:デジタル大辞泉)
・得意(とくい)
意味:最も手なれていて自信があり、じょうずであること。(出典:デジタル大辞泉)