切り出す
「話を切り出す」などのように使う「切り出す」という言葉。
「切り出す」は「切出す」とも表記でき、訓読みで「きりだす」と読みます。
「切り出す」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「切り出す」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
切り出すの意味
「切り出す」には次の二つの意味があります。
1 木材や石などを切って運び出す。
2 話や相談ごとを言い出す。思い切って話し始める。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
切り出すの意味①「木材や石などを切って運び出す。」
「切り出す」の一つ目の意味は「木材や石などを切って運び出す。」です。
「切る」と「出す」という2つの動詞が合わさってできた複合動詞です。
この場合「切る」という意味に、「出す」の意味である「運び出す」「外へ移す」という意味が足されて、そのままこの言葉の意味となっています。
木や石、岩を山から切り出す等、大きなものから一部分を取り出すときに使われる場合が多く、それ以外でも、何かの内部にあるものを切り取って外に出すような場面にも用いられる場合があります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・山から石を切り出すよりは、そこに立っている石を砕く方が簡単でしょう。
(出典:縞田理理『霧の日にはラノンが視える4』)
・山から切り出すのに幾日とかかかって、それから石屋に頼んだら十円取られた。
(出典:夏目漱石『三四郎』)
・そして五六間来ると其処等の山から切出す花崗石の石材が路傍に五つ六つ転がしてあつた。
(出典:石川啄木『道』)
類語
・切(り)落とす(きりおとす)
意味:物の一部を切って本体から離す。(出典:デジタル大辞泉)
・切(り)抜く(きりぬく)
意味:一部分を切って抜き取る。(出典:デジタル大辞泉)
・取(り)出す(とりだす)
意味:中から取って、外へ出す。(出典:デジタル大辞泉)
切り出すの意味②「話や相談ごとを言い出す。思い切って話し始める。」
「切り出す」の二つ目の意味は「話や相談ごとを言い出す。思い切って話し始める。」です。
単に話を始めるという意味ではなく、新しい話題や胸に秘めていたことをタイミングを見計らって話し始める、というような場合に用いられます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・彼は自分からあなたに別れを切り出すほど誠実な人間ではないからです。
(出典:梅田みか『愛人の掟3』)
・母に会ったら、何と切出そう。
(出典:国木田独歩『酒中日記』)
・コーヒーが運ばれてきたが、本多は、なかなか話を切り出そうとしない。
(出典:西村京太郎『十津川警部「裏切り」』)
類語
・口火を切る(くちびをきる)
意味:物事をしはじめる。きっかけをつくる。また、話を始める。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・口を切る(くちをきる)
意味:話をしはじめる。多くの人たちの中で最初に発言する。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・打ち明ける(うちあける)
意味:人に知られたくない事実や秘密などを、思い切って隠さずに話す。うちあかす。(出典:デジタル大辞泉)