事由
「事由がない」などのように使う「事由」という言葉。
「事由」は、音読みで「じゆう」と読みます。
「事由」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「事由」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
事由の意味
「事由」には次の二つの意味があります。
1 事柄の生じた理由・原因。事のわけ。
2 法律で、理由または原因となっている事実。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
事由の意味①「事柄の生じた理由・原因。事のわけ」
「事由」の一つ目の意味は「事柄の生じた理由・原因。事のわけ」です。
この「事由」はある事柄に対する「事情」「理屈」「理由」などをあらわします。
「いかなる事由があっても認めない」は「いかなる事情があっても認めない」という意味となります。
また使う場面は「事柄」に限定されます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・いかなる事由にもせよ、泰平の世に、武士が刀を抜けば啻では済まされぬ。
(出典:五味康祐『刺客(せっかく)』)
・存在すること、それ自体がその機械の存在事由なのだ。
(出典:村上春樹『1Q84 BOOK3』)
・細々とした事由はあろうが、おおかた、そういったところであろう。
(出典:冲方丁『光圀伝』)
・これ以上説得力がある事由を指摘することはできない。
(出典:ヴェブレン/高哲夫訳『有閑階級の理論 ―制度の進化に関する経済学的研究』)
類語
・理屈(りくつ)
意味:無理につじつまを合わせた論理。こじつけの理論。(出典:デジタル大辞泉)
・事情(じじょう)
意味:物事が、今どうなっているか、また、どう変わってきたかというような細かい状態や理由。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・所為(しょい)
意味:そうなった原因・理由。(出典:デジタル大辞泉)
・理由(りゆう)
意味:物事がそうなった、また物事をそのように判断した根拠。(出典:デジタル大辞泉)
事由の意味②「法律で、理由または原因となっている事実。」
「事由」の二つ目の意味は「法律で、理由または原因となっている事実。」です。
法律を明記する際に使われるのがこの「事由」です。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・だが「特別の事由があると認めたときはこの限りではない」という但し書きがついているのである。
(出典:寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』)
・この場合民法第一七条に列挙した事由のいずれかが存するならば、妻は夫の許可を得ないでもいい。
(出典:末弘厳太郎『嘘の効用』)
・「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合はこの限りではない」である。
(出典:水木楊『田中角栄 その巨善と巨悪』)
・第五条 特別の事由ある時は軍罰の執行は免除す。
(出典:大岡昇平『ながい旅』)
類語
・根拠(こんきょ)
意味:物事が存在するための理由となるもの。(出典:デジタル大辞泉)
・節理(せつり)
意味:物事の道理・すじみち。(出典:デジタル大辞泉)
・道理(どうり)
意味:物事の正しいすじみち。また、人として行うべき正しい道。(出典:デジタル大辞泉)
・所以(ゆえん)
意味:あることがらの理由になること。(出典:精選版 日本国語大辞典)