ホープ
「若手のホープ」などのように使う「ホープ」という言葉。
「ホープ」は、英語で「hope」と表記します。
「ホープ」とは、どのような意味の言葉でしょうか？
この記事では「ホープ」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
ホープの意味
「ホープ」には次の三つの意味があります。
1 希望。期待。
2 将来に望みをかけられている人。有望な新人。（出典：デジタル大辞泉）
3 JTが製造、販売するタバコのブランド。（出典：デジタル大辞泉プラス）
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
ホープの意味①「希望。期待。」
「ホープ」の一つ目の意味は「希望。期待。」です。
英語で「希望」「期待する」「願う」「信じる」という意味の「hope」が、その音のままカタカナ表記となり、意味もほぼそのまま日本語になった言葉です。
日本語では名詞として用いられます。
前向きな明るい意味であることから、名前などに使われることも多く、近年では、アラブ首長国連邦が中心となって開発した中東初の火星探査機も「Hope（ホープ）」、別名「al-Amal（アル・アマル）、アラブ語で「希望」）と名付けられました。
英語圏では名前としても使われていて、姓、名どちらにも使われています。
有名な人では、アメリカの喜劇俳優ボブ・ホープや、イギリスの元プロボクサーであるモーリス・ホープ、カナダの俳優ウィリアム・ホープなどがいます。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・脳の働きだけが僕らの唯一のホープなんだ。
（出典：ダイン／鈴木幸夫訳『僧正(ビショップ)殺人事件』）
・ホープと名づけておいて、人の死をこんな町はずれに、隠蔽するように追いやるのも、なんだかひどくこの町らしい。
（出典：角田光代『夜道の家族』）
・ホープはどんな役を演じようとも、常にボブ・ホープなのである。
（出典：小林信彦『世界の喜劇人』）
ホープの意味②「将来に望みをかけられている人。有望な新人。」
「ホープ」の二つ目の意味は「将来に望みをかけられている人。有望な新人。」です。
今後が期待される対象に対して用いられる言葉で、言い換えると、現時点ではまだ新人であったり未熟であったりしても、かなりの成長が見込まれる人、という意味です。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・我が大学の水泳部のホープ、広田紀美子がここで深夜の練習をしてるって噂を聞いてね。
（出典：赤川次郎『冬の旅人』）
・「今年、最も期待されるロック界のホープ」 伸吉が北村和樹というカッコいい名前になるってことは聞かされていたけど、年が急にひとつ若くなっていたのは、この時初めて知った。
（出典：林真理子『ピンクのチョコレート』）
・二人とも在学中からホープといわれ、加藤は卒業して間もなく文部大臣賞を獲得している。
（出典：草柳大蔵『実力者の条件 この人たちのエッセンス』）
ホープの意味③「JTが製造、販売するタバコのブランド。」
「ホープ」の三つ目の意味は「JTが製造、販売するタバコのブランド。」です。
昭和32（1957）年に発売された日本初のフィルター付きタバコです。
歴史も長く、「HOPE」という大きな文字と特徴的な弓矢のロゴマークで、タバコを吸わない人でも耳にしたり目にしたことがある有名な銘柄の一つです。
長さが70mmと一般的なフィルター付きタバコよりも短く、一時期、80mmの長いタイプのものが販売されて「ロングホープ」と呼ばれていたことから、「ショートホープ」と呼ばれることもあります。
重みのある吸いごたえや豊かな煙量、愛煙家が長らく愛している銘柄ということもあり、小説などで、ヘビースモーカーや、年を重ねた渋い出で立ちの人物を描く場合に、「ホープ」を吸うシーンが象徴的に用いられることがあります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・「どんなふうにでていたんだ」 彼女はショートホープをとりだして火をつけた。
（出典：藤原伊織『テロリストのパラソル』）
・S・Y先生は立ったままゆっくりホープに火をつけると、もういちど東の空に眼をやった。
（出典：横溝正史『金田一耕助全集 [金田一耕助ファイル18] 横溝正史 「白と黒」』）
・ホープを一服つけると、赤坂見附の方から、一台、黄色いのがやってきた。
（出典：安藤鶴夫『巷談 本牧亭』）
