ジンテーゼ
「アウフヘーベンにより、ジンテーゼが生まれる」などのように使う「ジンテーゼ」という言葉。
ドイツ語では「Synthese」と表記します。
「ジンテーゼ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「ジンテーゼ」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
ジンテーゼの意味
「ジンテーゼ」には次の意味があります。
・哲学で、思想の各要素を論理的に結合して統一すること、およびその結果。カントでは、直観と悟性の形式によって結合する先天的総合と、経験判断のような経験的総合とがある。ヘーゲルの弁証法では、新しい高次の概念によって、二つの対立概念を統合すること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
「ジンテーゼ」をわかりやすく言うと「ある考えとそれと対立する考えが本質的に統合されたもの」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・テーゼはアンチテーゼによって媒介され、ジンテーゼに達する。
(出典:マンハイム/森博(訳)『保守主義的思考』)
・アンチ・テーゼの提出だけに止ってジンテーゼを志さないかぎり、相手は完全に否定されたわけではないから、見捨てられた全人間性の回復を目ざす芽がふたたび暗黒の底からふかないとはかぎらない。
(出典:竹内好『近代の超克』)
類語
・アウフヘーベン
意味:あるものを否定しつつも、より高次の統一の段階で生かし保存すること。(出典:デジタル大辞泉)
・総合(そうごう)
意味:ヘーゲル弁証法で、相互に矛盾する定立と反定立とを止揚すること。合(ごう)。(出典:デジタル大辞泉)
・統一(とういつ)
意味:哲学で、多様な諸要素がある点で一致して、一つの全体に属するようになること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・揚棄(ようき)
意味:ヘーゲル弁証法で、二つの矛盾対立する概念または事物が、争うことによってそれらの形が改められるが、内容は新しい段階で新しい秩序のもとに組み込まれて、いっそう高い概念や事物を生みだすこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・止揚(しよう)
意味:ヘーゲル弁証法で、低い次元で矛盾対立する二つの概念や事物を、いっそう高次の段階に高めて、新しい調和と秩序のもとに統一すること。(出典:精選版 日本国語大辞典)