コンダクター
「ツアーコンダクター」などのように使う「コンダクター」という言葉。
「コンダクター」は、英語で「conductor」と表記します。
「コンダクター」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「コンダクター」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
コンダクターの意味
「コンダクター」には次の二つの意味があります。
1 オーケストラや合唱などの、指揮者。
2 旅行などの、添乗員。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
コンダクターの意味①「オーケストラや合唱などの、指揮者。」
「コンダクター」の一つ目の意味は「オーケストラや合唱などの、指揮者。」です。
意味の通り、指揮者のことです。
英語が直訳され、そのままカタカナ語で使われています。
指揮者が大人数を一手に動かす、統率する様子から、その場を仕切ったりする人のことを例えて言う場合に使われることもあります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・この程度の音も聞き分けられないようでは、私もコンダクター失格だな。
(出典:神永学『コンダクター』)
・それから私は、トオイシンホニイのコンダクターにもなった。
(出典:久坂葉子『灰色の記憶』)
・演出家というのは、いわば音楽の演奏に於けるコンダクターのようなものであると私は思う。
(出典:岸田国士『俳優倫理』)
・志賀家の食卓では、志賀さんがコンダクターなのだった。
(出典:秋山加代『辛夷の花──父 小泉信三の思い出──』)
類語
・指揮者(しきしゃ)
意味:合奏や合唱を指揮する人。コンダクター。(出典:デジタル大辞泉)
・楽長(がくちょう)
意味:楽団、楽隊の指揮者。(出典:デジタル大辞泉)
・バンドマスター(bandmaster)
意味:楽隊・楽団の、指揮者。楽長。バンマス。(出典:デジタル大辞泉)
・コンサートマスター(concert master)
意味:管弦楽団の首席第1バイオリン奏者。楽員全体の指導的立場にあり、時には指揮者の代わりもつとめる。(出典:デジタル大辞泉)
コンダクターの意味②「旅行などの、添乗員。」
「コンダクター」の二つ目の意味は「旅行などの、添乗員。」です。
言い換えると、団体旅行などで引率する添乗員のことです。
こちらも、英語の意味がそのまま訳され、カタカナ語として使われている言葉です。
旅行に限らず、初めて訪れる場所や特定の場所をいくつか順に巡るような場合に案内してくれる人をこう呼ぶこともあります。
団体旅行・ツアー旅行に限定していう場合は、「ツアーコンダクター」として使われる場合が多いです。
似た意味の「ガイド」が単に「案内をする人」であるのと違い、「コンダクター」は行き先々と訪問することについて事前に調整をしていたり、移動手段を事前に確保・準備していたり、案内される人が不便をしたり不快にならないよう行程のすべてを管理している点です。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・万里さんは通訳になる前に、団体旅行のコンダクターをしていたことがあるのだが、客のしもべとなり、楽しく旅行していただけるよう細やかな心配りが必要とされるこの仕事を彼女がどうこなしていたのか、私は常々いぶかっていた。
(出典:田丸公美子『シモネッタのデカメロン イタリア的恋愛のススメ』)
・三十をすぎて、まだ独身ということもあって、一年の大半をコンダクターとして旅に出ている。
(出典:平岩弓枝『パナマ運河の殺人』)
・「それじゃ、大井さんが今朝、お話しになっていらしたツアーは、早川先生のでしたの」 大学時代の恩師のツアーのために、ガイド兼コンダクターをつとめているという話であった。
(出典:平岩弓枝『葡萄街道の殺人』)
・「企画が通ったら、ぜひ僕をそのツアーのコンダクターに指名してくださいよ」 後山は日焼けした顔に、目を輝かせた。
(出典:坂東眞砂子『夢の封印』)
類語
・ツアーコンダクター(tour conductor)
意味:団体旅行に同行し、手続きやコース設定など旅行の円滑な運営を図る人。添乗員。ツアコン。(出典:デジタル大辞泉)
・添乗員(てんじょういん)
意味:団体旅行に付き添い、客の世話をする旅行会社などの係員。交通機関の乗務手続き、旅館との交渉、日程の調整などにあたり、円滑な旅行の実施を図る。(出典:デジタル大辞泉)
・ガイド(guide)
意味:案内すること。また、案内人。特に、登山・観光などにいう。(出典:デジタル大辞泉)
・案内係(あんないかかり)
意味:客などを案内する役。また、その人。(出典:精選版 日本国語大辞典)