殿
「殿を務める」などのように使う「殿」という言葉。
「殿」は、訓読みで「しんがり」と読みます。
「殿」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「殿」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
殿の意味
「殿」には次の二つの意味があります。
1退却する軍列の最後尾にあって、敵の追撃を防ぐこと。また、その部隊。
2隊列や順番などの最後。最後尾。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
殿の意味①「 退却する軍列の最後尾にあって、敵の追撃を防ぐこと。また、その部隊。」
殿の一つ目の意味は「退却する軍列の最後尾にあって、敵の追撃を防ぐこと。また、その部隊。」です。
退却するときの最後尾であるため、進軍中は先頭にいることになります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・こうして西田隊の三十五名は、本当のしんがり部隊として、英軍の戦車隊を迎えることになった。
(出典:高木俊朗『抗 命 インパールII』)
・白人四人は弾丸をこめたライフルを持ってしんがりをうけたまわった。
(出典:ドイル/永井淳訳『失われた世界』)
・味方の損害を少なくするには、しんがりとなって、敵を支える部隊が必要なのだ。
(出典:新田次郎『武田勝頼(二)』)
・私は探検隊のカヌー群を先へ進ませ、ボートをしんがりにして戦い始めた。
(出典:スタンレー/宮西豊逸訳『黒い大陸』)
類語
・先陣(せんじん)
意味:本陣の前方に配置した陣。(出典:デジタル大辞泉)
・一番槍(いちばんやり)
意味:戦場で最初に敵陣に槍を突き入れること。また、その人。(出典:デジタル大辞泉)
・前衛(ぜんえい)
意味:軍隊の前方にあり、偵察・警戒などの任にあたる部隊。(出典:デジタル大辞泉)
・先駆け(さきがけ)
意味:他の者に先んじて敵中に攻め入ること。(出典:デジタル大辞泉)
殿の意味②「 隊列や順番などの最後。最後尾。」
「殿」の二つ目の意味は「 隊列や順番などの最後。最後尾。 」です。
隊列の最後尾になりますので、進軍中の一番後ろということになります。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・その前と側面としんがりには、それより小型の同じようなものが、多数並んでいる。
(出典:E・R・バローズ『創元初訳版/金星シリーズ(全5巻) 4 金星の火の女神』)
・このころまでには、敵の軍団のしんがりも通過したものと思った。
(出典:ドイル/秋田元一訳『豪勇ジェラールの冒険』)
・そして先頭のものとしんがりのものとは時々交代するんだ。
(出典:大杉栄『自叙伝』)
・しんがりを務めていたカルテンが馬を進めてきた。
(出典:エディングス『エレニア記2 水晶の秘術』)
類語
・最後尾(さいこうび)
意味:行列や、長くつながっているものなどのいちばん後ろ。(出典:デジタル大辞泉)
・末端(まったん)
意味:組織などの中央から最も遠い部分。(出典:デジタル大辞泉)
・後衛(こうえい)
意味: 後方の護衛。特に軍隊で、退却の場合に後方を警戒する部隊。(出典:デジタル大辞泉)
・どんけつ
意味:物事の一番最後。競争の一番最後、最下位になったビリ尻などを指すことも多い。(出典:実用日本語表現辞典)