あらあらかしこ
「(手紙で)それではお元気で。あらあらかしこ」などのように使う「あらあらかしこ」という言葉。
「あらあらかしこ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「あらあらかしこ」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
あらあらかしこの意味
「あらあらかしこ」には次の意味があります。
・《粗略で意を尽くさず恐縮です、の意から》女性が書いた手紙、または女性宛の手紙の最後に書き添える語。かしこ。(出典:デジタル大辞泉)
手紙を読む相手に対して、「丁寧でなく、分かりにくい文章で申し訳ない」と謙遜する言葉です。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・あらあらかしこなぞと若々しい止め文句を使う年寄りのばんばあが、どこの世界にあるんですかい。
(出典:佐々木味津三『右門捕物帖』)
・申しのこしたきことは死出の山ほど候えども、心せくまま、あらあらかしこ。
(出典:興津要『古典落語(続)』)
・佐七がそれをひらいてみると、 またのお目もじを楽しみに、あらあらかしこ 恋いこがるる いとより と、ただそれだけ。
(出典:横溝正史『人形佐七捕物帳 14』)
・わたしに言はせれば、電話のおしまひはやはり、きちんと、 「では、ごめん下さい」 とか、 「さやうなら」 とか言つて終るべきなので、それは手紙がすべて、「敬具」とか「不一」とか「あらあらかしこ」とかで終るべきなのとおんなしなのである。
(出典:丸谷才一『日本語のために』)
・巳之さんといま旅立つ死出の山、三途の川をわたるまえ、取りいそぎあらあらかしこ。
(出典:横溝正史『人形佐七捕物帳 4』)
・まづはあらあらかしこ。
(出典:尾崎紅葉『金色夜叉』)
・あらあらかしこ。それにつけても思うのは、薬のききめです。
(出典:宮本百合子『獄中への手紙』)
・友達同士の手紙で「あらあらかしこ」なんて表現を使ってみるのも、なかなか新鮮かもしれない。