俯瞰
「俯瞰」と書いて「ふかん」と読みます。
「俯瞰する」などと使いますが、読めるけれど書けないという方も多いのではないでしょうか。
意味とともに、書き方を確認しておくのもよいですね。
この記事では「俯瞰」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
俯瞰の意味
俯瞰には次の意味があります。
・ 高い所から広い範囲を見おろしながめること。鳥瞰。(出典:精選版 日本語大辞典)
「俯瞰」と似た言葉で「鳥瞰(ちょうかん)」という言葉があります。
これは字の通り、空を飛ぶ鳥の目の高さから下を見下ろす視点ということですが、
俯瞰も同様に、山の上や空の上のような高いところから景色や物事を見渡すということになります。
名詞ですが、「する」を補って「俯瞰する」と用います。
具体的な使い方や例文は下記の通りです。
使い方・例文
・上から地形を俯瞰して各部隊長に関係位置を把握させようというのである。 各部隊長同乗の飛行偵察は行われたが、なんら得るところはなかった。
(出典:五味川純平『ノモンハン(上)』)
・ 俯瞰はさらに低くなり、入り組んだ海岸の様が手に取るようにわかってきた。 急斜面がそのまま海へとなだれ込む海岸の地形は、申しわけ程度の砂浜を持つばかりで松林も少なかった。
(出典:鈴木光司『バースデイ』)
・いつか部長室で見た写真より立派な地形俯瞰図がそこにあった。観測範囲を半径百キロメーター、二百キロ、四百キロ、六百キロ、八百キロメーターと増して行くに従って、白い地形俯瞰図は中心部に小さくまとまり、画面の大部分は、高い山のいただきで眺めた青空のように、濃い藍色に沈んでいた。
(出典:新田次郎『富士山頂』)
・そんな人だからこそ世の中を俯瞰して見られるのかもしれない。 私は彼に強い興味をもった。
(出典:山本文緒『プラナリア』)
・棟居はもう一度事件の発生時点に遡って、事件全体を俯瞰してみることにした。 これまでは組織捜査の一コマとして事件の細部のみを見つめて、全体を俯瞰することを忘れるともなく忘れていた。
(出典:森村誠一『棟居刑事の推理』)
・おのれの時代を俯瞰するのは確かにいいことではある。しかしおそらくは、十四世紀もの高さを有する高塔は、現代の人間の運動を観測するよりもむしろ星の運動を観察する方がたやすいほどの、不便な観測所たるやもしれなかった。
(出典:ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』)