一途
「一途な恋」などのように使う「一途」という言葉。
「一途」は、音読みで「いちず」と読みます。
「一途」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「一途」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
一途の意味
「一途」には次の二つの意味があります。
1 他を考えないで、一つのことに打ち込むこと。また、そのさま。ひたすら。ひたむき。
2 一つの方法。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
一途の意味①「他を考えないで、一つのことに打ち込むこと。また、そのさま。ひたすら。ひたむき。」
「一途」の一つ目の意味は「他を考えないで、一つのことに打ち込むこと。また、そのさま。ひたすら。ひたむき。」です。
この意味で使う場合は「いちず」と読みます。
一つのことに熱中している様子を表します。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ あの女の持つ、どこか突きつめた一途なものは、死へ向かってはいない。
(出典:赤川次郎『ひまつぶしの殺人』)
・ああいう一途な思いが報われたのを見て、わたしは喜んでいるんだよ。
(出典:エディングス『ベルガリアード物語1 予言の守護者』)
・心葉先輩が、天野先輩一人を一途に想い続けてきたのではなかったこと。
(出典:野村美月『文学少女シリーズ10 “文学少女”見習いの、初戀。』)
・あなたが私に一途になるようだったら、私はそれに応えてもいいのだし。
(出典:片岡義男『物のかたちのバラッド』)
類語
・一筋(ひとすじ)
意味:ただ一つのことに心を傾けるさま。(出典:デジタル大辞泉)
・直向き(ひたむき)
意味:一つの物事だけに心を向けているさま。忍耐強く、いちずに打ち込むさま。(出典:デジタル大辞泉)
・一本槍(いっぽんやり)
意味:目標や手段や態度を一つに絞り、終始それで押し通そうとすること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・ひたすら
意味:そのことだけに意を用いるさま。いちずであるさま。ひたそら。(出典:精選版 日本国語大辞典)
一途の意味②「一つの方法。」
「一途」の二つ目の意味は「一つの方法。」です。
これしかないという道や手段を指します。
この場合は、「いっと」と読みます。
仏語においては「悟りを得るための一つの方法」を意味します。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・堂花が気弱な少女であるということで、増長の一途をたどっているのだ。
(出典:伏見健二/高井信/山本弘『妖魔夜行 魔獣めざめる』)
・アメリカのトラストは、一八八〇年ごろから発達の一途をたどっている。
(出典:星新一『明治・父・アメリカ』)
・いろいろと考えてみたが、このうえはただこの一途あるのみだ。
(出典:ドイル/延原謙訳『四つの署名』)
・考えることは悟りということ、不滅の肉身を獲ること、この一途だった。
(出典:岡本かの子『宝永噴火』)
類語
・唯一(ゆいいつ)
意味:ただ一つであること。それ以外にはないこと。ゆいいち。ゆいつ。(出典:デジタル大辞泉)
・一択(いったく)
意味:俗に、問いに対する答えが一つだけであること。また、ほかに手段がないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・方法(ほうほう)
意味:目標に達するための手段。目的を遂げるためのやり方。てだて。(出典:デジタル大辞泉)
・手段(しゅだん)
意味:ある事を実現させるためにとる方法。てだて。(出典:デジタル大辞泉)