鬱勃
「鬱勃たる勇気」などのように使う「鬱勃」という言葉。
「鬱勃」は、音読みで「うつぼつ」と読みます。
「鬱勃」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「鬱勃」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
鬱勃の意味
「鬱勃」には次の意味があります。
・内にこもっていた意気が高まって外にあふれ出ようとするさま。また、意気が盛んなさま。(出典:デジタル大辞泉)
「鬱」には塞ぎこんで中にこもらせるという意味があり、「勃」には中に溜まっていたものが吹き出すという意味があります。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・雄図鬱勃たる者どもにして、オマル・アル・ネマーン一族の人々なるぞ。
(出典:佐藤正彰訳『千一夜物語』)
・歌舞伎町の灯は混沌鬱勃雑然ふうに、いやそれ以上に明るく輝いてはいた。
(出典:橋本克彦『欲望の迷宮 新宿歌舞伎町』)
・鬱勃たる勇気をもった、土性っ骨のある独立の人なのである。
(出典:里中哲彦『鬼平犯科帳の真髄』)
・何でもよい、国家のそのために働きたいという鬱勃たるものに駆られていたのでしょうか。
(出典:海音寺潮五郎『寺田屋騒動』)
・新領主に対する鬱勃たる不満が、葛西七郡大崎五郡に充ち満ちていた。
(出典:菊池寛『日本武将譚』)
・青年の、鬱勃とした精神が、すでに自分の内部に新しく頭を持ち上げ始めて來たことを彼は感じてゐた。
(出典:島木健作『生活の探求』)
・たとえばその鬱勃としたものが、手軽に云えば髪形の上や服装の上などに通け口が出来ているでしょう。
(出典:岡本かの子『新時代女性問答』)
・右の作が感じさせるのは、二十代半ばの青年の鬱勃たる情感。
(出典:大岡信『名句歌ごよみ[春]』)