万丈
「万丈の気」などのように使う「万丈」という言葉。
「万丈」は、音読みで「ばんじょう」と読みます。
「万丈」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「万丈」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
万丈の意味
「万丈」には次の二つの意味があります。
1 一丈の万倍。きわめて高いこと。また、きわめて深いこと。
2 非常に高く上がること。意気の盛んなこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
万丈の意味①「一丈の万倍。きわめて高いこと。また、きわめて深いこと。」
「万丈」の一つ目の意味は「一丈の万倍。きわめて高いこと。また、きわめて深いこと。」です。
「丈」は長さを表す単位の意味があり、万ほど高い・深いことを表すときに使われます。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・ただ、音の世界を占めるものは万丈の炎のひびきだけであった。
(出典:山田風太郎『忍法帖3 伊賀忍法帖』)
・その下は一万丈もあろうかと思われる深い穴で、穴のなかにはごうごうという音がひびきわたっている。
(出典:施耐庵/駒田信二訳『水滸伝(一)』)
・こちらは足の掛りもないほど急で、頂上から下を見ると眼も眩むばかり幾十万丈とも知れぬ深さだ。
(出典:井上円了『南半球五万哩』)
・むろんそこは万丈の雪に埋めつくされているが、実をいうと雪は、おげ丸にとって大して障りにはならないのだ。
(出典:山田風太郎『忍法封印いま破る』)
・地表から一万丈以上もある大地の底へもんどり打って落込んだ。
(出典:サド/澁澤龍彦訳『恋のかけひき』)
万丈の意味②「非常に高く上がること。意気の盛んなこと。」
「万丈」の二つ目の意味は「非常に高く上がること。意気の盛んなこと。」です。
この意味は、きわめて意気が盛んなことのたとえで「万丈の気を吐いた」のように使われます。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・一人万丈の気を吐いていたのは、顕微鏡やカメラで有名なカール・ツアイス社である。
(出典:中川靖造『海軍技術研究所』)
・これは秩父の為に万丈の気焔を吐いたもので有るまいか。
(出典:木暮理太郎『秩父の奥山』)
・日本軍の不統一が分るわけで、京城在城の諸軍隆景と宗茂だけよく日本のために万丈の気を吐いたわけである。
(出典:菊池寛『碧蹄館の戦』)
・この時、ひとり呉国の武士のために、万丈の気を吐いた若者があった。
(出典:吉川英治『三国志』)
・第十一回オリンピック大会のベルリン開催に成功し、大量の金メダル狩りをやってのけて万丈の気を吐いた。
(出典:佐々淳行『謎の独裁者・金正日 テポドン・諜報・テロ・拉致』)