暗示
「未来を暗示する」などのように使う「暗示」という言葉。
「暗示」は、音読みで「あんじ」と読みます。
「暗示」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「暗示」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
暗示の意味
「暗示」には次の二つの意味があります。
1 物事を明確には示さず、手がかりを与えてそれとなく知らせること。また、そのような手がかり。サジェスチョン。
2 人の感情や考えが、言葉や絵などの間接的な手段によって無意識のうちに強制によらずにある方向に変化する現象。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
暗示の意味①「物事を明確には示さず、手がかりを与えてそれとなく知らせること。また、そのような手がかり。サジェスチョン。」
「暗示」の一つ目の意味は「物事を明確には示さず、手がかりを与えてそれとなく知らせること。また、そのような手がかり。サジェスチョン。」です。
「暗示」を簡単な言葉に言い換えると「こっそりと教えること」や「やんわりと示すこと」、「ヒントを出すこと」などとなります。
「未来を暗示する」で「未来をやんわりと示す」となります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・黄色な顔の皮膚の色は進行しつつある病気を暗示しているようであった。
(出典:原田義人『判決』)
・ 神経の疲労のこの現象は、短い瞬間に非常に多くのことを私に暗示した。
(出典:宮本百合子『芸術が必要とする科学』)
・ 光に面した正しい人生を暗示するものは手紙を書きたい思ひなんです。
(出典:坂口安吾『手紙雑談』)
・ その白い山の姿は、信夫の旭川での生活を暗示しているような気がした。
(出典:三浦綾子『塩狩峠』)
類語
・サジェスチョン
意味:示唆(しさ)。暗示。提言。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・ヒント
意味:ものごとを解決したり、創作したりするときに手がかりとなるような情報。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・示唆(しさ)
意味:それとなく知らせること。ほのめかすこと。(出典:デジタル大辞泉)
・仄めかす(ほのめかす)
意味:それとなく言葉や態度に表して示す。におわせる。(出典:デジタル大辞泉)
暗示の意味②「人の感情や考えが、言葉や絵などの間接的な手段によって無意識のうちに強制によらずにある方向に変化する現象。」
「暗示」の二つ目の意味は「人の感情や考えが、言葉や絵などの間接的な手段によって無意識のうちに強制によらずにある方向に変化する現象。」です。
この場合の「暗示」は、催眠術や心理誘導のように「いつの間にか考えや感情が誘導されるように仕向けること」を指します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・わたしのなかの何かが、母がつねに与えつづけていた暗示を信じていた。
(出典:タニス・リー『銀色の恋人』)
・俺はまるで悪い暗示にかかってしまったように白じらとなってしまう。
(出典:梶井基次郎『ある崖上の感情』)
・そこにこめられた暗示力が、これほどひしひしと身に迫ったことはない。
(出典:宇宙英雄ローダン・シリーズ『10 宇宙の不死者』)
・ 暗示を与えるということばがあるが、この婦人が与えた暗示は何だろう。
(出典:豊田穣『海兵四号生徒』)
類語
・洗脳(せんのう)
意味:その人の主義や思想を根本的に改めさせること。(出典:デジタル大辞泉)
・自己暗示(じこあんじ)
意味:自分で自分に暗示を与えること。 (出典:大辞林 第三版)
・仕向ける(しむける)
意味:あることをするよう、人に働きかける。(出典:デジタル大辞泉)
・誘導(ゆうどう)
意味:人や物をある場所や状態にさそい導くこと。 (出典:大辞林 第三版)