余地
「疑う余地もない」などのように使う「余地」という言葉。
「余地」は、音読みで「よち」と読みます。
「余地」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「余地」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
余地の意味
「余地」には次の二つの意味があります。
1 余っている土地。余分の場所。また、あいている所。
2 余っている部分。ゆとり。余裕。また、物事を考えたり行なったりする機会。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
余地の意味①「余っている土地。余分の場所。また、あいている所。」
「余地」の一つ目の意味は「余っている土地。余分の場所。また、あいている所。」です。
この場合の「余地」は、土地や場所に対して使われます。「この部屋には、もう一人入れる余地がある」という文で、「この部屋には、もう一人入れるくらいの空きがある」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・だから歩くと云っても、歩きたいだけ歩く余地は無論ありませんでした。
(出典:夏目漱石『行人』)
・じっさい、彼女の体と寝台の縁のあいだには指一本の余地しかなかった。
(出典:アン・マキャフリイ『パーンの竜騎士シリーズ(全16巻) 13 竜の挑戦〔上〕』)
・そうするだけの広さは十分にあって、まだ余地がある位であった。
(出典:森田草平『クリスマス・カロル』)
・しかし右手の本箱はドアの右手に余地ができるようにずらしてあった。
(出典:クイーン/石川年訳『中国切手殺人事件』)
・二人のあいだには、ちょうど人が一人だけ通れる余地があった。
(出典:アレクサンドル・デュマ/江口清訳『三銃士(上)』)
余地の意味②「余っている部分。ゆとり。余裕。また、物事を考えたり行なったりする機会。」
「余地」の二つ目の意味は「余っている部分。ゆとり。余裕。また、物事を考えたり行なったりする機会。」です。
この場合の「余地」は、「心の余裕」や「物事に対する必要性、チャンス」という意味があります。例えば、冒頭で紹介した「疑う余地もない」は、「疑う必要もない」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・個人的感情などは、この場合いっさい考慮している余地がありません。
(出典:原田義人『城』)
・彼の死ぬ時には、こういう言葉を考える余地すら余に与えられなかった。
(出典:夏目漱石『三山居士』)
・しかしあの弁護士はそうでなくても非難の余地がないわけではなかったのだ。
(出典:カフカ/中野孝次訳『審判』)
・そうしてそれが調整する余地がなければその時に大抵個物は破壊される。
(出典:辻潤『錯覚自我説』)
・ここに各種の反ブルジョア的イデオロギーの表現報道の余地が残される。
(出典:戸坂潤『辞典』)