滋味
「滋味に富む料理」などのように使う「滋味」という言葉。
「滋味」は、音読みで「じみ」と読みます。
「滋味」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「滋味」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
滋味の意味
「滋味」には次の二つの意味があります。
1 栄養があって味のいいこと。栄養豊富でおいしい食べ物。
2 豊かで深い精神的な味わい。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
滋味の意味①「栄養があって味のいいこと。栄養豊富でおいしい食べ物。」
「滋味」の一つ目の意味は「栄養があって味のいいこと。栄養豊富でおいしい食べ物。」です。
簡単に言い換えると、飲食物がおいしくて栄養満点である、という意味です。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・台湾からわざわざ取り寄せた最高級の烏龍茶は冷めても滋味に溢れている。
(出典:馳星周『不夜城完結編 長恨歌』)
・最後の煮るということについては、もちろん水の中で煮るのですから、魚肉の滋味が多少外へ出るということがあります。
(出典:平野雅章『熱いが御馳走 食物ことわざ事典II』)
・舌もとろけるその滋味は、一度口にすると決して忘れることが出来ず、何度でも食したくなるという。
(出典:森福都『長安牡丹花異聞』)
・二人ともすっかり感動して家の中へ入り、クリームや滋味豊かなビスケットをお茶受けにして、古い陶器の茶碗でお茶を飲んだ。
(出典:チェーホフ/小笠原豊樹訳『チェーホフ短編集「決闘」』)
類語
・美味(びみ)
意味:うまい味。うまい飲食物。また、味のよいさま。(出典:デジタル大辞泉)
・佳味(かみ)
意味:よい味。また、よい味の食物。美味。(出典:デジタル大辞泉)
・好味(こうみ)
意味:よい味。また、味のよい食物。(出典:デジタル大辞泉)
・旨み/旨味(うまみ)
意味:食物のうまい味。また、うまい度合い。おいしさ。(出典:デジタル大辞泉)
滋味の意味②「豊かで深い精神的な味わい。」
「滋味」の二つ目の意味は「豊かで深い精神的な味わい。」です。
言い換えると、ゆっくりと深く味わう趣や風情、という意味です。
①の意味と異なり、こちらは対象となるものが食べ物や飲み物とは限りません。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・そして不意に滋味のある笑みを見せると、その顔を末乃のほうに向けた。
(出典:柄刀一『400年の遺言 死の庭園の死』)
・誠に滋味の豊かな歌で、くり返して味わうほど味が出てくるように思う。
(出典:和辻哲郎『歌集『涌井』を読む』)
・誰が読んでも、誰に読んできかせても、それは深い滋味のある言葉だ。
(出典:北原白秋『愛の詩集』)
・その馥郁とした滋味ある人柄は、選挙民を魅了せずにはおかない。
(出典:松本清張『迷走地図(下)』)
類語
・趣(おもむき)
意味:そのものが感じさせる風情。しみじみとした味わい。(出典:デジタル大辞泉)
・風情(ふぜい)
意味:風流・風雅の趣・味わい。情緒。(出典:デジタル大辞泉)
・妙味(みょうみ)
意味:なんとも言えない味わい。非常にすぐれた趣。醍醐味だいごみ。(出典:デジタル大辞泉)
・雅味(がみ)
意味:風流な味わい。上品な趣。(出典:デジタル大辞泉)