入用
「ご入用ですか?」などのように使う「入用」という言葉。
「入用」は、訓読みで「いりよう」と読みます。「にゅうよう」とも読むことができます。また、「入り用」と表記する場合もあります。
「入用」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「入用」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
入用の意味
「入用」には次の三つの意味があります。
1 必要であること。また、そのさま。にゅうよう。
2 必要な費用。入費。いりめ。
3 大切なこと。重要。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
入用の意味①「必要であること。また、そのさま。にゅうよう。」
「入用」の一つ目の意味は「必要であること。また、そのさま。にゅうよう。」です。
言い換えると、何かしらの用事のために必要であること、を表しています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・この部屋の書類が御入用でしたら、いまのうちに言っていただきますわ。
(出典:カー/宇野利泰訳『帽子蒐集狂事件』)
・また、何か事が大きくなって、僕の力が入用だったら、いつでも連絡してくれたまえ。
(出典:高木彬光『顔のない女』)
・ともかく、その女を手に入れるために、まとまった金が入用だったのだ。
(出典:江戸川乱歩『江戸川乱歩全短編1 本格推理I』)
類語
・必要(ひつよう)
意味:なくてはならないこと。どうしてもしなければならないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・要用(ようよう)
意味:必要なこと。(出典:デジタル大辞泉)
・須要(しゅよう/すよう)
意味:なくてはならないこと。どうしても必要なこと。また、そのさま。必須ひっす。すよう。(出典:デジタル大辞泉)
入用の意味②「必要な費用。入費。いりめ。」
「入用」の二つ目の意味は「必要な費用。入費。いりめ。」です。
言い換えると、何かをするために必要お金、を表しています。
①の意味で、「金が入用」として「金が必要」と表現することもできますが、この意味の場合は「入用」という言葉単体でお金の意味を含んで表現することができます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・どうだ、おれが摂州へ出て行く道中の入用四十両、これはおれが借用だ。
(出典:子母沢寛『父子鷹 下巻』)
・幕府がこの進発の入用のために立てた一か月分の予算は十七万四千二百両の余であった。
(出典:島崎藤村『夜明け前』)
・あちこち物を贈らねばならないので、入用なのである。
(出典:伊藤整『太平洋戦争日記(二)』)
類語
・費用(ひよう)
意味:ある事をするのに必要な金銭。また、ある事のために金銭を使うこと。(出典:デジタル大辞泉)
・費え(ついえ)
意味:費用。出費。かかり。(出典:デジタル大辞泉)
・掛かり(かかり)
意味:物事をするのに必要な費用。入費。(出典:デジタル大辞泉)
入用の意味③「大切なこと。重要。」
「入用」の三つ目の意味は「大切なこと。重要。」です。
言い換えると、とても重要で欠かせないものであること、を表しています。
①の意味と非常に酷似していますが、いるかいらないかではなく、対象となるものの存在自体の重要性を表したいときに、この意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・私たちが生きて行くためには人間としての善意と同時に意志が入用である。
(出典:宮本百合子『私たちの社会生物学』)
・学者が万巻の書を愛重するように、陶家には万点の古陶磁が入用となる。
(出典:北大路魯山人『なぜ作陶を志したか』)
・だから科学物を取扱うためには、非常な勉強が入用だ。
(出典:海野十三『『十八時の音楽浴』の作者の言葉』)
類語
・重要(じゅうよう)
意味:物事の根本・本質・成否などに大きくかかわること。きわめて大切であること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・大切(たいせつ)
意味:もっとも必要であり、重んじられるさま。重要であるさま。(出典:デジタル大辞泉)
・肝要(かんよう)
意味:非常に大切なこと。最も必要なこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)