懇ろ
「懇ろな仲」などのように使う「懇ろ」という言葉。
「懇ろ」は、訓読みで「ねんごろ」と読みます。
「懇ろ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「懇ろ」の一般的な二つの意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
懇ろの意味
「懇ろ」には次の二つの意味があります。
1心がこもっているさま。親身であるさま。
2親しいさま。特に、男女の仲が親密であるさま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
懇ろの意味①「心がこもっているさま。親身であるさま。」
「懇ろ」の一つ目の意味は「心がこもっているさま。親身であるさま。」です。
大切な人や物を、思いやりをもって丁寧に扱う様子を意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・なお十分に養生するようにという懇ろな指示があっただけだった。
(出典:藤沢周平『隠し剣秋風抄』)
・そしていま村の主だったひとを集めて、懇ろにお説教をしていらっしゃるのよ。
(出典:横溝正史『金田一耕助全集 [金田一耕助ファイル1] 横溝正史 「八つ墓村」』)
・その部分を懇ろに捜したけれども、別にこれという手がかりを発見することが出来なかった。
(出典:小酒井不木『好色破邪顕正』)
・本当に懇ろにいろいろおっしゃってあり、達ちゃんも様々に考えましたろう。
(出典:宮本百合子『獄中への手紙』)
類語
・丁重(ていちょう)
意味:注意が行き届いていて丁寧なこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・手重い(ておもい)
意味:取り扱いが丁寧である。(出典:デジタル大辞泉)
・温かい(あたたかい)
意味:思いやりがある。いたわりの心がある。(出典:デジタル大辞泉)
・親切(しんせつ)
意味: 相手の身になって、その人のために何かをすること。(出典:デジタル大辞泉)
懇ろの意味②「親しいさま。特に、男女の仲が親密であるさま。」
「懇ろ」の二つ目の意味は「親しいさま。特に、男女の仲が親密であるさま。」です。
友情としての親しみや、もしくはそれ以上の男女間や夫婦間の親しい様子を表します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・どういうわけか、美人の歌手と懇ろになったと思いねえ。
(出典:泡坂妻夫『死者の輪舞』)
・だが、いくらなんでも、居候している身で、弟分の姉と懇ろになるわけにはいかない。
(出典:熊谷達也『邂逅(かいこう)の森』)
・一方、彼女は夫に隠れて胡綏に色目を使い、夫の知らないうちに二人は懇ろになる。
(出典:張競『恋の中国文明史』)
・平気で脱柵するし、女子青年団員と懇ろになってしまう兵隊がいた。
(出典:山口瞳『人殺し(上)』)
類語
・水入らず(みずいらず)
意味:内輪の者だけで集まっていること。(出典:デジタル大辞泉)
・昵懇(じっこん)
意味:親しく打ち解けてつきあうこと。また、そのさま。懇意。(出典:デジタル大辞泉)
・肌が合う(はだがあう)
意味:気が合う。気持ちがよく通じる。また、肉体関係の相性がいい状態についてもいう。(出典:デジタル大辞泉)
・睦まじい(むつまじい)
意味:仲がよい。親密である。特に、男女間の愛情がこまやかである。(出典:デジタル大辞泉)