仰ぐ
「空を仰ぐ」などのように使う「仰ぐ」という言葉。
「仰ぐ」は、訓読みで「仰ぐ」と読みます。
「仰ぐ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「仰ぐ」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
仰ぐの意味
「仰ぐ」には次の三つの意味があります。
1 上を向く。上方を見る。あおむく。
2 尊敬する。敬う。
3 教え・援助などを求める。請う。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
仰ぐの意味①「上を向く。上方を見る。あおむく。」
「仰ぐ」の一つ目の意味は「上を向く。上方を見る。あおむく。」です。
「空を仰ぐ」で、「空を見上げる」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・美しい星空を仰ぐには、やはりここでも冬の季節のほうがよいのだろう。
(出典:阿刀田高『花惑い』)
・ことにわたくしが驚いたのは屋根を仰ぎながら軒下を歩いた時であった。
(出典:和辻哲郎『古寺巡礼』)
・二人は黙って空をじっと仰いでいた。
(出典:堀辰雄『姨捨』)
類語
・見上げる(みあげる)
意味:下から上を見る。仰ぎ見る。(出典:デジタル大辞泉)
・仰ぎ見る(あおぎみる)
意味:上方に目を向けて見る。見上げる。(出典:デジタル大辞泉)
・振り仰ぐ(ふりあおぐ)
意味:顔を上へ向けて高い所を見る。(出典:デジタル大辞泉)
仰ぐの意味②「尊敬する。敬う。」
「仰ぐ」の二つ目の意味は「尊敬する。敬う。」です。
この場合の「仰ぐ」は、「尊敬すべきものとして見る」という意味で使います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・民にとってはどちらを領主と仰ぐも日本人であるにかわりはない。
(出典:海音寺潮五郎『新太閤記(四)』)
・偉人として仰いだものを、友人として認めるの地位になりました。
(出典:中里介山『大菩薩峠』)
・しかしながら、これを氏神と仰ぐのは、嵯峨以後の諸源ばかりではない。
(出典:海音寺潮五郎『平将門 下巻』)
類語
・敬う(うやまう)
意味:相手を尊んで、礼を尽くす。尊敬する。(出典:デジタル大辞泉)
・尊敬(そんけい)
意味:他人の人格、思想、行為などをすぐれたものとして尊び敬うこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・敬服(けいふく)
意味:感心して尊敬の念を抱くこと。(出典:デジタル大辞泉)
仰ぐの意味③「教え・援助などを求める。請う。」
「仰ぐ」の三つ目の意味は「教え・援助などを求める。請う。」です。
この場合の「仰ぐ」は、人から教えや指示を得ようとしたり、人に頼ったりすることを意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・最初にしたことは上司の判断を仰ぐことであった。
(出典:竹下節子『パリのマリア』)
・どうしてもあんたの指示を仰ぎたくなる。
(出典:菊地秀行『トレジャー・ハンター14 エイリアン魔神国 完結篇2』)
・自分の態度についてかえって友人に批判を仰ごうとした。
(出典:徳田秋声『黴』)
類語
・求める(もとめる)
意味:相手に要求する。(出典:デジタル大辞泉)
・請う(こう)
意味:他人に、物を与えてくれるよう求める。(出典:デジタル大辞泉)
・要請(ようせい)
意味:必要とすること。要求。(出典:精選版 日本国語大辞典)