泣き寝入り
「泣き寝入りをする」などのように使う「泣き寝入り」という言葉。
「泣き寝入り」は、訓読みで「なきねいり」と読みます。
「泣き寝入り」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「泣き寝入り」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
泣き寝入りの意味
「泣き寝入り」には次の二つの意味があります。
1 泣いているうちに寝入ってしまうこと。泣き寝。
2 異議や不服はあるが、そのままあきらめてしまうこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
泣き寝入りの意味①「泣いているうちに寝入ってしまうこと。泣き寝。」
「泣き寝入り」の一つ目の意味は「泣いているうちに寝入ってしまうこと。泣き寝。」です。
泣いているうちに、泣き疲れて寝てしまうことを意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ぼくは先生の部屋でいつのまにか泣き寝入りをしていたと見えます。
(出典:有島武郎『一房の葡萄』)
・二階の東の部屋では、愛にうえた孤独な子供も、泣き寝入りに眠ってしまった。
(出典:モンゴメリ/中村佐喜子訳『赤毛のアン』)
・そうして水を浴びることも忘れ、泣いて泣いて、泣き寝入りに眠ってしまった。
(出典:池波正太郎『剣客商売 19 番外編 ないしょないしょ』)
・それでも子供はどうやら私の膝の上で、泣き寝入りに眠ってしまったものですから、私はそれを抱いて寝てやりました。
(出典:豊島与志雄『林檎』)
類語
・不貞寝(ふてね)
意味:ふてくされて寝てしまうこと。(出典:デジタル大辞泉)
・狸寝入り(たぬきねいり)
意味:眠っているふりをすること。(出典:デジタル大辞泉)
・空寝(そらね)
意味:寝たふりをすること。そらねむり。(出典:デジタル大辞泉)
・仮寝(かりね)
意味:仮にしばらく寝ること。また、うたた寝すること。(出典:デジタル大辞泉)
泣き寝入りの意味②「異議や不服はあるが、そのままあきらめてしまうこと。」
「泣き寝入り」の二つ目の意味は「異議や不服はあるが、そのままあきらめてしまうこと。」です。
比喩的に、現在はこの意味で用いられることが多いです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・はじめのころは患者も感染者も誤解による孤立を恐れて泣き寝入りをしていた。
(出典:松本清張『赤い氷河期』)
・これによって、民間人が泣き寝入りをしなくていい実例を社会に示したい。
(出典:星新一『人民は弱し 官吏は強し』)
・今の女性は昔のように恥かしがりやではないから泣き寝入りはしない。
(出典:佐藤愛子『冥途のお客』)
・たとえゆかりが泣き寝入りするつもりだとしても、僕はそうはしません。
(出典:赤川次郎『やさしい季節 上』)
類語
・手を引く(てをひく)
意味:関係を断ってしりぞく。かかりあいをなくす。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・諦める(あきらめる)
意味:もう希望や見込みがないと思ってやめる。(出典:デジタル大辞泉)
・匙を投げる(さじをなげる)
意味:物事、人の状態などに働きかけて、救済したり、思うような結果を導いたりすることに対し、そういう見込みがないとあきらめて、手を引く。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・諦観(ていかん)
意味:態を察してあきらめること。また、そのあきらめの心境。(出典:精選版 日本国語大辞典)