渾名
「彼に渾名をつけた」などのように使う「渾名」という言葉。
「渾名」は、熟字訓で「あだな」と読みます。音読みで「こんめい」と読むこともできます。
「渾名」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「渾名」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
渾名の意味
「渾名」には次の意味があります。
・本名とは別に、その人の容姿や性質などの特徴から、他人がつける名。(出典:デジタル大辞泉)
いわゆる「ニックネーム」のことです。
親しみを込めてつけられる場合もあれば、からかいの意味でつけられる場合もあります。
他に「あだな」と読む漢字は「綽名」「徒名」「虚名」があります。
「渾名」「綽名」の2つは同じ意味です。
「徒名」と表記する場合は、男女関係についてのうわさ(浮き名)、「虚名」の場合はうそつきの意味、あるいは事実無根の悪評という意味になります。
先の2つとは意味が変わるので注意が必要です。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・子供の時から老け顔で、小学校でも中学校でも彼の渾名はジジイだった。
(出典:牧野修『ファントム・ケーブル』)
・アイユーブはその主人を目にした途端、心の奥底では渾名をつけていた。
(出典:古川日出男『アラビアの夜の種族3』)
・わたしが奴につけたシャイロックという渾名の由来にピンときたのだろう。
(出典:有栖川有栖『シャイロックの密室』)
・この渾名はきっと彼の銃を扱うことの巧みさから来たのだろう。
(出典:ヴェルヌ/大久保和郎訳『グラント船長の子供たち(上) 地の果ての燈台』)
・彼はその風貌が鬼によく似ているので、鬼子という渾名を取ったのである。
(出典:岡本綺堂『中国怪奇小説集』)
類語
・綽名(あだな)
意味:本名とは別に他人を親しんで、また、あざける気持から、その容姿、性質、くせ、挙動などの特徴によって付けた名。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・俗称(ぞくしょう)
意味:世間で通っている、正式でない呼び名。通り名。通称。(出典:デジタル大辞泉)
・通称(つうしょう)
意味:正式ではないが世間一般で呼ばれている名称。とおり名。(出典:デジタル大辞泉)
・ニックネーム(nickname)
意味:親しみやからかいの気持ちを込めて呼ばれる、本名以外の名。愛称。(出典:デジタル大辞泉)
・愛称(あいしょう)
意味:親しみを込めてよぶ呼び名。(出典:デジタル大辞泉)