さもしい
「さもしい気持ち」などのように使う「さもしい」という言葉。
「さもしい」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「さもしい」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
さもしいの意味
「さもしい」には次の二つの意味があります。
1 品性が下劣なさま。心根が卑しい。意地汚い。
2 見苦しい。みすぼらしい。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
さもしいの意味①「品性が下劣なさま。心根が卑しい。意地汚い。」
「さもしい」の一つ目の意味は「品性が下劣なさま。心根が卑しい。意地汚い。」です。
人の性格や気持ちを表すときに使われる言葉で、下心がある様子や腹の中で貪欲な様子、打算的で卑しい感じを意味します。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・この男は、さもしい点でも、腹黒い点でも、徹底していた。
(出典:スタンダール『赤と黒』)
・昔の同期生から金をせびろうなんて、さもしい根性は持っていやあしねえ。
(出典:新田次郎『孤高の人』)
・僕にはそれもまたさもしい感じで、ただ軽侮けいぶの念を増しただけであった。
(出典:太宰治『彼は昔の彼ならず』)
・少しでも世間の眼に私自身を善く見せたい、さもしい心もちがある私は。
(出典:芥川竜之介『袈裟と盛遠』)
類語
・いじましい
意味:意地汚い。けちくさい。(出典:デジタル大辞泉)
・卑しい(いやしい)
意味:飲食物や金銭に対して貪欲である。(出典:デジタル大辞泉)
・意地汚い(いじきたない)
意味:飲食物や金銭・品物などを欲しがる気持ちが強い。(出典:デジタル大辞泉)
・いじましい
意味:意地汚い。けちくさい。(出典:デジタル大辞泉)
さもしいの意味②「見苦しい。みすぼらしい。」
「さもしい」の二つ目の意味は「見苦しい。みすぼらしい。」です。
①の意味と似ていますが、こちらは外見や状況などに対して使う言葉で、貧しい様子や下品な様子、身分や品位が低い様子を表します。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・いかにさもしくとも力なくとも人間は人間であることによってのみ尊い。
(出典:有島武郎『惜みなく愛は奪う』)
・ガツガツとのし上がっていく男を時枝は好きでもないし、さもしいと感じていたが、結婚してからは、そんな男の部分を大神に求めていたのかもしれない。
(出典:ヒキタクニオ『消し屋A』)
・然るに俺の曇つた、歪んだ、小さい、さもしい生活は實に何と云ふざまだ。
(出典:阿部次郎『三太郎の日記 第二』)
・ここまでさもしくさせといて、「そのうち値上げします」とは無責任すぎる。
(出典:つかこうへい『傷つくことだけ上手になって』)
類語
・みすぼらしい
意味:外見が貧弱である。身なりが見苦しい。(出典:デジタル大辞泉)
・卑しい(いやしい)
意味:貧しい。みすぼらしい。(出典:デジタル大辞泉)
・浅ましい(あさましい)
意味:身分や姿形が卑しい。みすぼらしい。(出典:デジタル大辞泉)
・ぼろい
意味:古くなって傷んでいる。ぼろっちい。(出典:デジタル大辞泉)