五月雨
「五月雨」。五月の雨と書いて「さみだれ」。「さつきあめ」と読む場合もあります。
五月に降る雨のこととつい思ってしまいがちですが、漢字の見た目に惑わされずに、
正しい意味を知っておきましょう。
この記事では「五月雨」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、
わかりやすく解説していきます。
五月雨の意味
「五月雨」には次の意味があります。
・陰暦五月ごろの長雨。また、その時期。さつきあめ。つゆ。梅雨。
(出典:日本語大辞典)
ここでいう五月は、日本が1873年(明治6年)以前に使っていた太陰暦における五月で、今の暦では五月下旬から七月中旬にあたります。今は五月といえば爽やかなイメージですが、昔は梅雨時だったのですね。
また、長く降り続く梅雨の様子から、断続的に続くことを比喩的に表すときにも使われます。「五月雨式(―しき)」「五月雨戦術(―せんじゅつ)」。
具体的な使い方や例文は下記の通りです。
使い方・例文
・所謂五月雨のやうなものは日本の中でも北海道にはもうない位の特産物である。
(出典:寺田寅彦『天文と俳句』)
・車兵五郎のまえに、第三の選手があらわれたのは、五月雨ふるある夕方であった。
(出典:山田風太郎『忍法陽炎抄』)
・五月雨の降りつづく頃になると、森羅萬象が緑色に見えることがある。 私の記憶の風景もちやうどそんな風でした。
(出典:竹久夢二『砂がき』)
・制作局の作業能力を睨みつつ、原稿の出の早い面から五月雨さみだれ式に降版していく。 第二社会面は十時半がデッドだ。
(出典:横山秀夫『クライマーズ・ハイ』)
・しかし大部分の日本人は、ベースに縄文人がいて、後から渡来人が五月雨式にやって来て混血した結果です。その元になった二つの集団が、実はパラサイトによる淘汰という観点からすると、全然正反対なんですね。
(出典:竹内久美子・日高敏隆『もっとウソを! 男と女と科学の悦楽』)