諦観
「諦観の念」などのように使う「諦観」という言葉。
「諦観」は、音読みで「ていかん」と読みます。
「諦観」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「諦観」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
諦観の意味
「諦観」には次の二つの意味があります。
1 全体を見通して、事の本質を見きわめること。
2 悟りあきらめること。超然とした態度をとること。(出典:大辞林 第三版)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
諦観の意味①「全体を見通して、事の本質を見きわめること。 」
「諦観」の一つ目の意味は「全体を見通して、事の本質を見きわめること。 」です。
わかりやすく言うと「上辺にとらわれるのではなく、物事をはっきり見極めること」という意味です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・人生のはげしい嵐をとおりぬけ、ひとつの諦観に達したニックの物語なのである。
(出典:ヘミングウェー/高村勝治訳『勝者には何もやるな/ヘミングウェー短編集3』)
・ 小次郎の胸をみたしているのは、人間というものに対する諦観であった。
(出典:海音寺潮五郎『平将門 下巻』)
類語
・諦念(ていねん)
意味:道理をさとる心。(出典:デジタル大辞泉)
・解悟(かいご)
意味:真理を悟ること。(出典:大辞林 第三版)
・理解(りかい)
意味:物事の道理や筋道が正しくわかること。(出典:デジタル大辞泉)
・見識(けんしき)
意味:物事の本質を見通すすぐれた判断力。(出典:大辞林 第三版)
諦観の意味②「悟りあきらめること。超然とした態度をとること。」
「諦観」の二つ目の意味は「悟りあきらめること。超然とした態度をとること。」です。
わかりやすく言うと「どうにもならない事態を察してあきらめること」という意味です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・年半前に訪れたとき、人々の不満は諦観に包まれはじめているようにみえた。
(出典:近藤紘一『妻と娘の国へ行った特派員』)
・醒めきった諦観の念が、自身の身体について彼女にそう語らせるのだろう。
(出典:虚淵玄『Fate/Zero Vol.3 「散りゆく者たち」』)
・こと病気に対してはまだ一種の諦観のようなものが持てるからだ。
(出典:大塚公子『死刑執行人の苦悩』)
・本当に、残り少ない時間の中で彼女に会う瞬間は訪れるのだろうか。 そのことを考えると、諦観じみた境地にある自分の心が不思議だった。
(出典:恩田陸『ライオンハート』)
・死を避けられない人間の諦観からきたカラクリの一つなのだ。
(出典:坂口安吾『狼園』)
類語
・諦念(ていねん)
意味:あきらめの気持ち。(出典:デジタル大辞泉)
・観念(かんねん)
意味:あきらめて、状況を受け入れること。(出典:デジタル大辞泉)
・往生(おうじょう)
意味:あきらめて、行動などをやめ、おとなしくすること。(出典:デジタル大辞泉)
・無抵抗(むていこう)
意味:抵抗しないこと。逆らわないこと。(出典:大辞林 第三版)