往来
「人の往来」などのように使う「往来」という言葉。
「往来」は、音読みで「おうらい」と読みます。
「往来」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「往来」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
往来の意味
「往来」には次の三つの意味があります。
1 行ったり来たりすること。
2 人の行き来する道路。街道。
3 人と人との交際。つきあい。 (出典:大辞林 第三版)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
往来の意味①「行ったり来たりすること。」
「往来」の一つ目の意味は「行ったり来たりすること。」です。
「人の往来」で「人の行き来」という意味になります。
人だけではなく、物の行き来にも使うことができます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・更けましたから人の往来はございません。
(出典:鈴木行三『真景累ヶ淵』)
・只圓翁が暴風模様の庭に出て、うしろ手を組んで雲の往来を眺めている。
(出典:夢野久作『梅津只円翁伝』)
・再び旧の暗い顔色に帰って、懐疑的な錯乱したような影が往来を始めた。
(出典:小栗虫太郎『黒死館殺人事件』)
類語
・往復(おうふく)
意味:行ったり来たりすること。(出典:大辞林 第三版)
・往還(おうかん)
意味:道を行き来すること。(出典:デジタル大辞泉)
・彷徨(ほうこう)
意味:さまよい歩くこと。(出典:大辞林 第三版)
往来の意味②「人の行き来する道路。街道。 」
「往来」の二つ目の意味は「人の行き来する道路。街道。 」です。
「往来に出る」で「人の行き来している道に出る」という意味になります。
人がいない小道などではなく、人の行き来がある大きめの道を指します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・きこりは往来から分れて、山の森の間の狭い道を案内して上って行った。
(出典:田部隆次『ろくろ首』)
・そのうちに岸本は家の方から往来の片側を通って来る兄の姿を見かけた。
(出典:島崎藤村『新生』)
・そのまま鳥打を眉深に冠り直して材木の間を右に左に抜けて往来に出た。
(出典:夢野久作『黒白ストーリー』)
類語
・道路(どうろ)
意味:人や車などの通行するみち。(出典:デジタル大辞泉)
・通路(つうろ)
意味:出入りや通行のための道。(出典:デジタル大辞泉)
・行路(こうろ)
意味:通り道。道すじ。(出典:大辞林 第三版)
往来の意味③「人と人との交際。つきあい。 」
「往来」の三つ目の意味は「人と人との交際。つきあい。 」です。
「恩師との往来」で「恩師との付き合い」という意味になります。
物理的な行き来ではなく、関係性を指します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ただ森君がお冬さんと親しく往来していた事実を伝えているのみである。
(出典:岡本綺堂『慈悲心鳥』)
・その後、僕と桂は互いに往来していたが早くもその年の夏期休課が来た。
(出典:国木田独歩『非凡なる凡人』)
・この後とも末長く兄弟で往来をしなければならないのだもの。
(出典:尾崎紅葉『金色夜叉』)
類語
・親交(しんこう)
意味:親しくつきあうこと。(出典:大辞林 第三版)
・交際(こうさい)
意味:人と人とが互いに付き合うこと。(出典:デジタル大辞泉)
・友好(ゆうこう)
意味:仲のよい交際。(出典:大辞林 第三版)