傍ら
「傍らに立つ」などのように使う「傍ら」という言葉。
「傍ら」は、訓読みで「かたわら」と読みます。
「傍ら」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「傍ら」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
傍らの意味
「傍ら」には次の二つの意味があります。
1 そば。すぐ近く。
2 主となることをする一方。合間に。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
傍らの意味①「そば。すぐ近く。」
「傍ら」の一つ目の意味は「そば。すぐ近く。」です。
「傍らに立つ」で「すぐ近くに立つ」という意味になります。
人だけでなく、物や自然にも使います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・家の前は雪を掻いた跡があり、戸口の傍らには雪べらが立てかけてあった。
(出典:三浦綾子『続泥流地帯 草のうた』)
・斉木は、喫茶店のレジの傍らの赤電話へとテーブルの間を抜けて行った。
(出典:赤川次郎『やさしい季節 上』)
・そして傍らに坐っている三味線ひきの女に、こう言ったのを私は聞いた。
(出典:三浦綾子『続泥流地帯 草のうた』)
・私の傍らに若い女性が並んで立っていることに、たいそう驚いた様子だ。
(出典:綾辻行人『人形館の殺人』)
類語
・脇(わき)
意味:すぐそば。(出典:デジタル大辞泉)
・袂(たもと)
意味:あたり。ほとり。(出典:大辞林 第三版)
・側辺(そくへん)
意味:へり。そば。(出典:デジタル大辞泉)
・御許(おもと)
意味:おいでになるところ。おそば。(出典:大辞林 第三版)
傍らの意味②「主となることをする一方。合間に。」
「傍ら」の二つ目の意味は「主となることをする一方。合間に。」です。
「学業の傍ら小説を書く」で「学業をする一方で小説も書く」という意味になります。
単なる同時進行ではなく、本業と副業の関係です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・サラリーマンが勤務の傍らになぜこれだけの仕事をしたのか、できたのか。
(出典:足立倫行『妖怪と歩く ドキュメント・水木しげる』)
・そんなことを思う傍らで、まだ移転の日のつづきを思い出しているのだった。
(出典:長谷川時雨『遠藤(岩野)清子』)
・彼女等は労働の傍ら詩を作り、自分の言いたいところを憚るところなく言うのです。
(出典:宮本百合子『婦人作家の「不振」とその社会的原因』)
・さあ恋の傍ら何をしようとするのであらうか。
(出典:平野万里『晶子鑑賞』)
類語
・同時(どうじ)
意味:同じ時に行われること。(出典:デジタル大辞泉)
・其間(そのかん)
意味:ある物事が行なわれている間。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・並行(へいこう)
意味:二つ以上のものが同時に行われること。(出典:デジタル大辞泉)
・マルチタスク
意味:同時にいくつかの仕事をすること。(出典:デジタル大辞泉)