重畳
「重畳たる山岳」などのように使う「重畳」という言葉。
「重畳」は、音読みで「ちょうじょう」と読みます。
「重畳」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「重畳」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
重畳の意味
「重畳」には次の二つの意味があります。
1 幾重にも重なること。
2 この上もなく満足なこと。大変喜ばしいこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
重畳の意味①「幾重にも重なること。」
「重畳」の一つ目の意味は「幾重にも重なること。」です。
「重」と「畳」はどちらも「かさねる」という意味を持つ漢字であり、「重畳」は、何重にも重なっていることを表します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・それは思想もなにもないただ荒々しい岩石の重畳する風景だった。
(出典:梶井基次郎『のんきな患者』)
・あたりが明るんできて、重畳たる山岳の頂が雪をかぶっているのが眼についた。
(出典:イネス/大門一男訳『蒼い氷壁』)
・山は高度こそそれほどでもないが重畳と深く、道もろくに整備されていない。
(出典:鳥飼否宇『中空』)
・世界の物質的な層のうえに、その価値的な性格が重畳してゆく。
(出典:熊野純彦『レヴィナス入門』)
類語
・高層(こうそう)
意味:層が幾つも重なっていること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・堆積(たいせき)
意味:積み重なること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・幾重(いくえ)
意味:何枚も重なっていること。(出典:デジタル大辞泉)
・積み重なる(つみかさなる)
意味:上へ上へと幾重にも重なる。(出典:デジタル大辞泉)
重畳の意味②「この上もなく満足なこと。大変喜ばしいこと。」
「重畳」の二つ目の意味は「この上もなく満足なこと。大変喜ばしいこと。」です。
この意味は感動詞的に使われることもあり、「重畳!」であれば「上出来!」や「いいね!」というような意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・それは重畳、ではさっそく一同の話を順々にこれで聞くといたそう。
(出典:芥川龍之介『舞踏会・蜜柑』)
・重畳です、私もその件、自分のことのように嬉しいですよ。
(出典:西尾維新『物語シリーズ 16 終物語(中)』)
・「いずれにしても重畳」 左門はきげんよく半之丞に目をやった。
(出典:滝口康彦『猿ヶ辻風聞』)
・御当家にとっては重畳な次第だが、中納言殿にとっては出世もこれで終りだな。
(出典:福永武彦『風のかたみ』)
類語
・良い(よい)
意味:人の行動・性質や事物の状態などが水準を超えているさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・満悦(まんえつ)
意味:満足して喜ぶこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・御の字(おんのじ)
意味:非常に結構なこと。(出典:デジタル大辞泉)
・喜ばしい(よろこばしい)
意味:喜ぶべき状態である。(出典:デジタル大辞泉)