芳しい
「芳しい香り」などのように使う「芳しい」という言葉。
「芳しい」は、訓読みで「かぐわしい」「かんばしい」と読みます。
「芳しい」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「芳しい」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
芳しいの意味
「芳しい」には次の二つの意味があります。
1 よいにおいがする。香りがよい。
2 心が引かれる。好ましい。すばらしい。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
芳しいの意味①「よいにおいがする。香りがよい。」
「芳しい」の一つ目の意味は「よいにおいがする。香りがよい。」です。
香りが良いさまを表すときに使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・芳しさのなかに猛々しいものをはっきりと感じることのできる匂いだった。
(出典:片岡義男『頬よせてホノルル』)
・後には芳しい花の香りをまとった一枚の護符が残されているのみ。
(出典:仁木英之『僕僕先生』)
・東京から行くと、ここでさえ大気は生きている草木の芳しさでいっぱいです。
(出典:宮本百合子『獄中への手紙』)
・万巻の書に芳しい花を見ていた男は、現実にそれを手に入れようとして泥濘に足を取られた。
(出典:松井今朝子『辰巳屋疑獄』)
類語
・香ばしい(こうばしい)
意味:よい香りがする。(出典:デジタル大辞泉)
・甘美(かんび)
意味:味が程よく甘くて、うまいこと。(出典:デジタル大辞泉)
・香味(こうみ)
意味:においとあじわい。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・漂う(ただよう)
意味:香りなどが風に運ばれたりしてそのあたりに満ちる。(出典:デジタル大辞泉)
芳しいの意味②「心が引かれる。好ましい。すばらしい。」
「芳しい」の二つ目の意味は「心が引かれる。好ましい。すばらしい。」です。
「よい」という意味ですが、「芳しくない」のように否定的な意味で使われる場合がよくあります。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・肌というものに芳しく包まれた、ひとりの若く美しい女性の体の存在。
(出典:片岡義男『七月の水玉』)
・ここでの学校の成績もあまり芳しいものではないらしい。
(出典:辻井喬『いつもと同じ春』)
・赤木喜一の顔写真を見せての質問だったが、返事は芳しいものではなかった。
(出典:西村京太郎『座席急行「津軽」殺人事件』)
・そこで診療所全体を売りに出したが、芳しい結果は得られなかった。
(出典:東野圭吾『殺人の門』)
類語
・絶佳(ぜっか)
意味:すぐれていて美しいこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・佳良(かりょう)
意味:すぐれていること。かなりよいこと。(出典:デジタル大辞泉)
・魅力(みりょく)
意味:人の心をひきつけて夢中にさせる力。(出典:デジタル大辞泉)
・秀でる(ひいでる)
意味:他よりも特にすぐれている。(出典:デジタル大辞泉)