思慮
「思慮が深い」などのように使う「思慮」という言葉。
「しりょ」と読みます。
「思慮」とはどのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「思慮」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
思慮の意味
思慮には次の意味があります。
・いろいろと慎重に考えること。おもんぱかり。
(出典:大辞林 第三版)
「遠慮」の「慮」と同じ字を用いるこの言葉ですが、「慮」には「よくよく考えること」「念入りに」「慎重に」といった意味合いが含まれます。
よく間違われる用例として、「思いやりがある」といった意味合いで使われますが、これは間違いなので注意しましょう。
具体的な使い方や例文は下記の通りです。
使い方・例文
・彼は、こういふことに就いても相当の思慮があるんだといふ風に云つた。
(出典:牧野信一『鏡地獄』)
・言葉や行動、慎重さや思慮のない行為がすべて同じことを物語っている。
(出典:オースティン/ハーディング祥子訳『エマ(下)』)
・相手が自分の話を理解できるかどうかといったことも、思慮の外にあった。
(出典:片山恭一『雨の日のイルカたちは』)
・本人の判断のほうが、ぼくよりよほど真剣で思慮ぶかいと思ったのだ。
(出典:キャロル/柳瀬尚紀訳『シルヴィーとブルーノ』)
・しかしかく思慮の足りないところもよろしく考量すべきではあるまいか。
(出典:ユゴー・ヴィクトル『レ・ミゼラブル』)
・ところが私は外衣を出がけに仲間の者どもへ無思慮にも渡してきてしまった。
(出典:ホメロス/呉茂一訳『オデュッセイア(下)』)