無常
「諸行無常」などで使われる「無常」という言葉。
「むじょう」という言葉には他に「無情」と書くものあり混同することもありますが、意味を知ると全く違うものであるということを理解できます。
この記事では「無常」の意味や使い方について、書籍などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
無常の意味
「無常」には次の意味があります
・万物は生滅流転し、永遠に変わらないものは一つもないということ。(出典: 大辞林 第三版 )
「無常」はもともと仏教からきている言葉です。
噛み砕いていうと「この世に、変わらないモノはない。常に変化をしていくモノである」ということです。
どうせ変わっていくのだから一つの物事に執着しても良くはないという教えです。
具体的な使い方や例文は下記の通りです。
使い方・例文
・無常のこの世にいてそう夫婦愛に執着している自分でもないものと思っていた。
(出典:与謝野晶子『源氏物語』)
・仏教の生死輪の図は、無常の大鬼輪を抱き輪の真中の円の内に仏あり。
(出典:南方熊楠『十二支考』)
・そしてこの無常の世の中で科学だけが大きい未来を有している。
(出典:蒲原有明『夢は呼び交す』)
・庭園は自然のきれいごとな模写ではなく、無常の世界の象徴であった。
(出典:井伏鱒二『小説日本芸譚』)
・それから私は風が吹く度に無常の風ではないかと恐れ出した。
(出典:横光利一『無常の風』)