鼻白む
「鼻白む思いがした」などのように使う「鼻白む」という言葉。
「鼻白む」は、訓読みで「はなじろむ」と読みます。
「鼻白む」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「鼻白む」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
鼻白むの意味
「鼻白む」には次の二つの意味があります。
1 気後れした顔つきをする。
2 興ざめがする。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
鼻白むの意味①「気後れした顔つきをする。」
鼻白むの一つ目の意味は「気後れした顔つきをする。」です。
「気後れ」とは「恐れて心が怯む」という意味です。
「鼻白む」とは、困った状況に陥った時に、怯んでしまって鼻のあたりが白くなってしまうことから生まれた言葉といわれています。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・覚悟はとっくの昔につけているが、それでも徐夫余が鼻白んだのは無理もなかった。
(出典:井上祐美子『五王戦国志4 黄塵篇』)
・私は自分の生きざまを叱責されているような気がして、鼻白んだ。
(出典:西村京太郎『浅草偏奇館の殺人』)
・かれは鼻白み、まるで割れたビール瓶でも生みかけているような顔になった。
(出典:ハインライン『愛に時間を1』)
・その打って変わったずけずけとした物言いに、光國は思わず鼻白んだ。
(出典:冲方丁『光圀伝』)
類語
・たじろぐ
意味:相手の勢いに圧倒されて、ひるむ。(出典:デジタル大辞泉)
・尻込み(しりごみ)
意味:気後れしてためらうこと。(出典:デジタル大辞泉)
・怖気付く(おじけづく)
意味:恐ろしいという気持ちになる。(出典:デジタル大辞泉)
・びびる
意味:恥ずかしがる。また、おじけづく。(出典:デジタル大辞泉)
鼻白むの意味②「 興ざめがする。」
「鼻白む」の二つ目の意味は「興ざめがする。」です。
現代ではこちらの意味で使われることが多くなっています。テンションが下がった時を表現している言葉です。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・今の生活感覚というのはこのようなものなのか、と昭和二〇年生れは鼻白んでしまう。
(出典:木村晋介『八丈島のロックンロール ―キムラ弁護士事件帖』)
・私が、私がこういうと世の人がなぜみな鼻白むのか、わからない。
(出典:田辺聖子『イブのおくれ毛 II』)
・この〝だまされた〟という言葉を聞くたびに、私は鼻白む思いがする。
(出典:小池真理子『悪の愛情論』)
・とたんにいままでの男の熱弁が、ぼくと男の間で急速に鼻白んでいくような気がした。
(出典:椎名誠『新橋烏森口青春篇』)
類語
・白ける(しらける)
意味:興がさめて気まずい雰囲気になる。(出典:デジタル大辞泉)
・不興(ふきょう)
意味:興味がなくなること。しらけること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・詰まらない(つまらない)
意味:おもしろくない。興味をひかない。(出典:デジタル大辞泉)
・無風流(ぶふうりゅう)
意味:風流でないこと。趣味を解さないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)