駄馬
「一頭の駄馬」などのように使う「駄馬」という言葉。
「駄馬」は、音読みで「だば」と読みます。
「駄馬」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「駄馬」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
駄馬の意味
「駄馬」には次の二つの意味があります。
1 荷物を運ぶ馬。荷馬。
2 下等な馬。だうま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
駄馬の意味①「荷物を運ぶ馬。にうま。」
「駄馬」の一つ目の意味は「荷物を運ぶ馬。荷馬。」です。
移動手段として馬を用いる時代、人を乗せる用の馬と荷物を載せる用の馬とに区別されていました。
「駄馬」はその中で、荷物を運ぶ馬を指します。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・時々我々は半裸体の土民や背に荷を負った妙な格好の駄馬に行きあった。
(出典:モース・エドワード・シルヴェスター『日本その日その日』)
・そして彼は、山道を登って行く駄馬のように、苦しそうな息をするのだった。
(出典:ヘッセ/岩淵達治訳『車輪の下』)
・それから先は官の荷として駅つぎの駄馬に托すことになっていた。
(出典:本庄陸男『石狩川』)
・「おろした荷は、この駄馬に積め」 荷を、均等化させているのである。
(出典:司馬遼太郎『国盗り物語』)
・馬といっても駄馬で、背中に弾薬を積んで、ひいて歩く馬であった。
(出典:池田弥三郎『手紙のたのしみ』)
駄馬の意味②「下等な馬。だうま。」
「駄馬」の二つ目の意味は「下等な馬。だうま。」です。
乗馬用にならない馬のことを指します。
多くは牝馬(ひんば)のことを意味し、またロバなど乗馬に向かないウマ科の動物を指すときにしばしば用いられます。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・馬を五百頭集めたが、そのうち三百頭は人をのせたことのない駄馬だった。
(出典:戸板康二『新々ちょっといい話』)
・駄馬とはいっても、やはり馬、いささかおんなたちの手には余りそうであった。
(出典:山田正紀『闇の太守』)
・今の時代、俺たちが駄馬で、沢口のような男が名馬なのかも知れん。
(出典:佐竹一彦『警視庁公安部』)
・駄馬どものなかで、彼のだけはしっかりしていた。
(出典:ヘミングウェー/高村勝治訳『女のいない男たち/ヘミングウェー短編集2』)
・どう見ても、その男には駿馬より駄馬のほうが似合いだった。
(出典:ブラウン『天の光はすべて星』)